【記者座談会】CCUSモデル工事の原則化を拡大/インフロニアHDの東洋建設TOB不成立 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【記者座談会】CCUSモデル工事の原則化を拡大/インフロニアHDの東洋建設TOB不成立

A 国土交通省が建設キャリアアップシステム(CCUS)のモデル工事で、原則化する範囲を広げると発表したね。

B 7月公告分から原則すべての一般土木工事の本官工事(整備局発注)でモデル工事を実施する。北海道開発局では本官工事のうち予定価格が2億5000万円以上の工事が対象となる。

A モデル工事は2種類あったと思うけど、原則化に当たっての整理はどうなるの。

B 本省からの通知文では、発注者指定に当たる義務化モデル工事と受注者希望に相当する活用推奨モデル工事のいずれかを原則実施することとしており、具体的な線引きは各地方整備局で判断する。

C それに伴い、これまで義務化モデル工事でのみ精算していたカードリーダー設置費用と現場利用料(カードタッチ費用)を活用推奨モデル工事でも計上を可能にする。

D Cランク工事については、積極的に検討してモデル工事を実施するよう指示した。Cランク工事でのモデル工事の実施に理解を示す建設業協会は、半数超の25都府県(国交省調べ、2月末時点)に上る。カードリーダーの設置費用がネックになるという声があったことを考えると、CCUSの普及に弾みがつきそうだ。

A 国の先導的な取り組みによって、都道府県や独立行政法人・特殊会社でも追随しやすくなるね。

B 先週末に改正した公共工事入札契約適正化法の適正化指針では、CCUSの記述を拡充した。利用環境の充実・向上や利用推進に「努める」としていた部分を、具体的なメリット創出の措置を「講ずる」と改めている。

C 適用対象工事の拡大と合わせて、公共工事の入札・契約適正化の観点からもCCUS活用の取り組みが前進したと言える。

CCUSへの就労履歴登録はカードリーダーだけでなく、顔認証システムも増えている

 ◆建設会社の財務は実態と不可分

A インフロニア・ホールディングスによる東洋建設の株式公開買付(TOB)が不成立となったね。

B 任天堂創業家一族のファミリーオフィス「Yamauchi-No.10 Family Office」(YFO)などがTOBの実施意向を表明している上、東洋建設が大規模買付行為への対応方針を導入した。現在進行形で物事が動いていており、現時点で今後起きる事態を見通すことは難しく、特定の見解を口にしづらい。

A 大豊建設や西松建設の事案も含め、アクティビスト(物言う株主)の投資対象になるほどゼネコンが魅力的になったということかな。

C 投資対象としては、そうなのかもしれない。一般論になってしまうが、西松建設の時のように投資会社は、資産が多いにもかかわらず比較的株価が安いゼネコンに目を付けているように思える。動産・不動産を含む資産が多く、それらを売却すればもっと株主に利益還元できるという考え方だ。

D しかし、こうした投資会社側からの要求には少し違和感を覚える。株価や資本・財務政策という面では一定の正当性があるかもしれないが、建設会社には建設現場という“実態”があり、株価・資本・財務の戦略も、最終的にはこの実態と強い結びつきをもって行われる。本来、株価・資本・財務政策は建設現場と切っても切り離せない関係のはず。資産を売ってしまうと実事業が先細りになりかねない。ところが投資会社の主張には、どうしても“実態”との結びつきを感じられないことが多い。SDGs(持続可能な開発目標)の広がりにより、“現場力”も含めた非財務的視点の投資が増えていると思っていたが、まだまだ財務的視点中心の投資は多いのかな。

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