【学習不要の損傷検出AI開発】来年度中にインフラ点検で実用化/東芝 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

公式ブログ

【学習不要の損傷検出AI開発】来年度中にインフラ点検で実用化/東芝

 東芝は、インフラの点検個所の正常画像数枚だけでひび・さび・水漏れ・異物付着・部品脱落などを高精度に検出するAI(人工知能)を開発した。インフラの点検システムへの適用を目指し、2023年度中の実用化を目指す。
 インフラ老朽化への対応が社会的課題となる中で、カメラ画像からAIを使って損傷などを判別する技術が広がっている。ただ、AIが学習するためには、多種多様な異常の種類ごとに大量の学習データを用意する必要があり、山岳地の鉄塔や橋梁の高架下、のり面、太陽光パネル裏面など、画像が少なくAIの導入が難しい現場があった。

 開発したAIは、大量の画像で事前に学習済みの既存の深層モデルの特徴量を比較に使って正常画像と点検画像の特徴量を導き出した上で、学習済みの深層特徴の中から似たものを自動選択して比較し、異常部分を検出する異常スコアマップで異常を特定する。学習済みの深層モデルを使うため、現場ごとに画像を収集して学習する必要がなく、多様な点検現場にすぐに適用できる。
 異常スコアマップを使った従来技術では、正常画像と点検画像で見え方が異なり、正常な状態を異常と検出する過検出が多かった。開発AIでは、数枚の正常画像から同様の特徴部分を差し引いて異常スコアマップを補正する独自技術を導入し、過検出を抑制した。
 太陽光パネルの裏面の点検を模擬した実験で異常個所を正確に検出できることを確認したほか、公開データを使った実験では異常の検出精度が91.7%となり、類似の従来技術と比べて精度が高かった。

数枚の正常画像から点検画像の異常を検出した例

【公式ブログ】ほかの記事はこちらから


建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら