【BIM2022 プロセスの変革 戸田建設 】ノンBIMユーザーの知見も活用/設計BIMスタンダード構築し転換図る | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【BIM2022 プロセスの変革 戸田建設 】ノンBIMユーザーの知見も活用/設計BIMスタンダード構築し転換図る

 戸田建設は、BIMの社内環境整備を進めている。設計部では「設計BIMスタンダード」を構築し、“後追いBIM”から“BIMからの2D図出図”へと転換を図っている。転換にあたっては、ノンBIMユーザーへの対応も含め、特に教育を重視した取り組みを展開している。
 「国土交通省の建築BIM推進会議が2020年3月に策定した“建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン”が1つの契機となり、設計部門、施工部門が個別に進めがちだったBIMの取り組みを見直し、設計部門(意匠、構造、設備)と施工部門(生産設計、設備工事)、BIM推進部門の担当者で構成するBIMプロジェクト設計室を設置し、BIMスタンダード(ツールとプロセス)の構築と展開を図っている。今後は、設計BIMを起点とした建築生産プロセスのDXにつなげていきたい」と、鬼頭俊之建築企画部次長は現状を語る。
 設備BIMに関しては設計、施工ともに「Rebro」を採用している。設計段階では意匠構造との連携、統合・干渉チェック、各所納まり検討を主に行っており、建築BIMから面積などを算出し各種設備設計計算(熱負荷・換気・照度計算)への活用も進めている。施工段階の設備BIMは本社ビル(新TODAビル)建て替えPJで活用方法を検討中である。

BIMモデルデータの流れ ~本社ビル(新TODAビル)建て替えPJの場合~

■設計BIMの教育
 「設計BIMの教育にあたっては、設計担当者がBIMを使って設計を行うことのメリットを実感し、興味、やる気をもって取り組んでもらえるように配慮している。設計施工物件におけるBIM活用は、設計を起点として、積算・施工・運用サイドにつないでいくこと、BIMをステークホルダー全員で活用することが不可欠だと考えている。そのためには設計、積算、施工、維持管理(関連会社を含む)の関係者ごとに、それぞれの業務に即したBIM教育を実施することに加え、BIMモデルを利用する社員(ノンBIMユーザー)向けの教育を拡張し、実務を通じて継続的にフォローしていくことが重要である」と教育のポイントを荒木英次建築設計統轄部BIM設計部長は指摘する。

■設備設計者へのBIM教育~事前、本研修の2段階~
 「Rebro」の設備設計部門への教育は、事前研修と宿泊で行う本研修の2段階で実施。事前研修は戸田建設で作成したマニュアル・教材を使用。CG画面の操作と作図の基本を学ぶ。
 本研修は業務提携しているサンセツビ空間計画のある名古屋にて宿泊形態で実施。BIM設計部BIMプロジェクト設計室の野見友稀氏は、「期間は年度によって違うが、1-2カ月程度。研修初年度の2020年度は30下の社員に実施し、2年目以降は入社2-3年目の社員と同年代の設備施工系社員も含めて行っている。CG・作図などRebroの基本操作と応用操作、施工図・維持管理に関することを行ったうえで、最後に当社保有物件のモデリング演習を行う」と手順を説明。
 30代以上の管理職(部長、室長、主管・主任)に対してはマニュアル・教材を自前で作成し、社内にて研修を実施している。

■施工段階の設備BIM活用~本社ビル(新TODAビル)建て替えPJで活用~
 建築工事統轄部設備部設備工事1課の諏訪部泰徳課長は、「東京・京橋で進めている本社ビル(新TODAビル)建て替えPJに、Rebroを積極的に導入している。設計段階からRebroを使用しているので、施工段階でもRebroを採用した。電気、衛生、空調のサブコン9社に対して、Rebro使用にあたっての操作教育、作図に関するルール決め・体制・役割分担などについて協議し、円滑な推進を図りつつある。設計段階のBIM活用では、基本設計から実施設計の間で実施したフロントローディング会議において、設計担当者(意匠、構造、設備)、施工担当者(建築、設備、生産設計、FL、サブコン9社)が出席し、ノンBIMユーザーも参加して、700項目に渡る課題解決を行った。施工段階の設備BIM活用事例は少ないので、本件で多様な項目を実施し、社内展開していく」とRebroを切り口とする同社の取り組みを明らかにする。
 さまざまな取り組みを踏まえて、「建築・設備に関する多くの知識と経験を持っているノンBIMユーザーの知見を生かしつつ、1日も早く多くの社員がエクセルやワードのようにRebroを使えるようにしたい」と諏訪部課長は将来を見据える。

(左から)鬼頭氏、荒木氏、野見氏、諏訪部氏



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