【記者座談会】首都高日本橋区間の地下化が進展/95回目「全国安全週間」を展開 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】首都高日本橋区間の地下化が進展/95回目「全国安全週間」を展開

A 首都高速道路の日本橋区間地下化事業で、地下トンネル構築に向けた準備工事の「(改)都心環状線(日本橋区間)呉服橋・江戸橋出入口撤去工事」が進んでいるね。

B 日本橋区間は1963年12月に開通した。上下線で一日に約10万台の車両が通行するなど、日本屈指の交通の要衝だ。鋼桁の接続部を中心に構造物全体に疲労亀裂が発生し、コンクリート床版にもひび割れが見つかるなど、更新が必要な状況になっていた。そこで、首都高速道路会社は、2021年4月から呉服橋・江戸橋出入口撤去工事に着手した。この工事が完了すれば、開通から約60年ぶりに一部区間で青空が望めるようになる。

C 工事場所は東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道の五街道の起点に近い歴史あるエリアに位置している。日本橋川周辺は国家戦略特区の都市再生プロジェクトに位置付けられ、まちづくりの機運が高まっている。

B 今後、本格化する日本橋地下化事業の事業区間は、神田橋JCTから江戸橋JCT間の約1.8㎞となる。約1.1㎞に及ぶ地下トンネルなどの本体工事は、類似事例がほとんどないようだ。トンネル本体は地下鉄などを避けて進める“針の穴を通す”ような厳しい条件下での施工となる。このため、地下鉄事業者や近隣の再開発事業者との連携も求められている。

D 首都高速道路会社は、『首都高リニューアルプロジェクト~日本橋区間地下化事業vol・1(事業概要編)』など、事業の全体像や最新の取り組み状況を紹介する動画をユーチューブで公開してPR活動にも努めている。呉服橋・江戸橋出入口撤去工事の動画もあり、記録資料としても一見の価値がある。

撤去工事が進む現場(6月24日撮影)

由々しき事態の打開へ意識新た

A 6月の梅雨明け早々から既に真夏感が満載だったけど、7月に入りいよいよ夏本番だ。1日から7日までを対象期間に、毎年恒例の全国安全週間が展開されたね。足元では労働災害の増加の兆しが気になるところだ。ことしは準備期間の6月を中心に各社・各支店などで開く安全大会も、以前のように関係者を集めてリアルで行うところが多かった。一日に数カ所の会場を取材に回るわれわれとしても、久しぶりに「ことしもこの季節がやってきたなあ」と感じられたね。

B 全国安全週間は1928年に第1回が開催されて以来、一度も中断することなく続けられ、ことしで第95回を迎えた。脈々と受け継がれてきた「人命尊重」という基本理念をいま一度、心に刻みたいところだね。

C 特にわが業界は、依然として全産業に占める労働災害の発生割合が高く、一層の意識高揚が求められている。関係者の労災防止の取り組みにより、中長期的には減少傾向が続いているが、2021年度には建設業死亡者数が前年より30人も増え、休業4日以上の死傷災害に至っては1102人も増加した。これには新型コロナウイルス感染症の罹患(りかん)による労災も含まれているが、それを除いた数字でも増加している。

D ことしに入ってからも予断を許さない状況が続いている。1-5月の労災発生状況の速報値によると、建設業の死亡者数は前年同期比で8人増の96人、死傷者数は485人増の5497人と由々しき事態となっている。まずはことしのスローガン『安全は急がず焦らず怠らず』を徹底してもらいたいね。
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