【記者座談会】加速するBIM導入 活用前提の生産システム構築や現場内でのルール化が課題 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】加速するBIM導入 活用前提の生産システム構築や現場内でのルール化が課題

2016年11月に東京、大阪の2会場で開催した施工BIMセミナーには2日間で600人強が訪れ、関心の高さが浮き彫りになった


A ゼネコンのBIM導入が一気に加速しているようだね。
B 大手に限らず、準大手クラスも設計・施工の全プロジェクトにBIM導入を目標付ける社が増え、そのための体制整備に乗り出す動きが広がっている。最近では7月からBIMの推進組織を立ち上げる佐藤工業や、グループ力を生かそうとフジタがBIMを軸に設計から施工、建物管理までを一貫して取り組むトータルの受注提案に乗り出す動きもあった。
C 確かにゼネコンではBIMを生産性向上の手段として位置付ける傾向が強いように感じるが、本当にBIMを使いこなしているのか、現場での細かな部分の導入効果がなかなか見えてこない。BIMソフトを導入すれば、それだけで実現するわけではない。設計事務所がBIM導入に合わせて、設計のワークフローを大きく変えているように、ゼネコンもBIM活用を前提とした生産システムを構築しないといけない。
A 以前は、3次元の可視化がBIMの導入効果として注目されてきたが、近年は施工計画の立案などマネジメントツールとしての使い方をする動きも出ている。例えば鹿島のように、建築プロジェクトの着工前検討でBIMを使った念入りな検証をルール化している社もある。
B この取り組みを実際に取材させてもらったが、計画図を基に3次元モデルを構築し、現場案と本社・支店案を比べ施工計画の最適解を導き出している。鹿島内では建築工事の全現場がBIMを活用する流れとなり、その手がかりとなる3次元モデルデータの作成を国内外のモデリング拠点が担当し、現在は24時間の供給体制になっている。
D 私自身が注目しているのは、元請企業がBIMを使って専門工事業とどのように連携しているかという点。現場にかかわる専門工種すべてがBIMでやる必要はないだろうが、主要工種が取り入れた場合には事前の納まり確認などにより手戻りをかなり抑えられるはずだ。
B BIMが生産性向上の手段に成り得るには、現場内である程度のルール化が必要になってくると思うよ。例えば専門工事会社との図面調整に「BIMモデル合意」の手法を水平展開する動きもある。大手はもちろん、準大手クラスでも前田建設などが実績を持っている。その先にある究極の姿はBIMモデルを使った承認という流れになるが、現場でのBIMが定着すれば、将来的にはそこまで実現する可能性もある。
C 当社のBIMセミナー『施工BIMのインパクト』は今回で5回目になる。ゼネコンの強みである設計施工案件で設計BIMと施工BIMがどのように連携しているかを探るため、設計と施工の担当者それぞれが登壇を予定している講演もある。1つのプロジェクトの中で設計者、作業所、専門工事会社がどのようにつながり、施工BIMの可能性を引き出しているか、そのポイントも提示してもらう。
B ありがたいことにこれまでの4回には受け付け開始から1週間ほどで定員に達したケースもあった。今回は東京(8/2)と大阪(8/4)を合わせて850人は聴講できるように会場規模も増やしている。早めの登録をお願いしたい。

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