【安藤忠雄建築研究所】想像力と勇気で世界に挑む/淡路夢舞台で技術研修会 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

公式ブログ

【安藤忠雄建築研究所】想像力と勇気で世界に挑む/淡路夢舞台で技術研修会

安藤氏


 安藤忠雄氏の代表作の一つである複合施設「淡路夢舞台」(兵庫県淡路市)の建設に関わったゼネコンや建設業、造園業、各種メーカー関係者らが年に一度集まる建築技術研修会(安藤忠雄建築研究所主催)が25、26日の2日間にわたって同地で開かれた。第21回となる今回は、「変容する環境への適応」をテーマにプレセミナーやレクチャーなどを開催し、参加した約240人は旧交を温めた。
 25日のレクチャーで安藤氏は、淡路夢舞台の建設に至った道程や完成までの経緯を説明し、「夢舞台は施工に携わった方々、一人ひとりの勇気で出来上がったと考えている」と話し、「コツコツと続けていれば、世界の課題を解決できるものをつくるということに、一歩でも踏み込みたいという思いでやらせてもらった」と振り返った。
 出席した建設関係者に「いま私たちに一番必要なのはインテリジェンス、考える力だ。特にコンピューターを使う力や英語などの世界中と交流する力を通して、世界の課題を乗り越えるためのものをつくらなければならない」と話し、「世界には約80億の人がいるが、将来的には100億人を超えると言われている。食料や資源・エネルギーは不足するだろう。私たちは想像力と勇気を持ってこの課題に取り組まねばならない」と力説した。
 最後に、「皆さんの努力がこの地球という土地の上に立ち上がり、それが100年残っていくんだということを考えてほしい」と締めくくった。
 レクチャーでは、大林組の岡有氏と竹中工務店の岡崎智仁氏も話題提供した。
 岡氏は「環境問題と技術革新」をテーマに講演。同社が施工した日本初の木造構造施設「PortPlus」を紹介した。「当施設の建設に伴うCO2排出量は、S造と比較して1700t削減しているなど、従来型の建築物と比較して大きく環境負荷を低減している」と語った。
岡崎氏は、「新しい技術により作り上げる未来」と題し、建設業で廃棄されるプラスチックを利用し、コンクリートの型枠を3Dプリンターで作成するプロジェクトを解説した。「建設業で廃棄されるプラスチックの量は、廃ペットボトルの総量よりも多いのが現実」と話し、「使用材料を抑えられるだけでなく、3Dプリンターは自由な造形が比較的容易で、建設空間に対してさまざまな可能性を広げられる付加価値を持っている」と説明した。

淡路夢舞台


 このほか、プレセミナーでは、乃村工藝社の加藤悟郎氏が「変容する環境への適応」について解説した。
 26日には、参加者による記念植樹や淡路市内にある安藤氏が設計した本福寺水御堂の見学なども行われた。
淡路夢舞台は、関西国際空港島の埋め立てに使われた土砂採取場跡地に整備された、国際会議場、ホテル、展望テラス、温室、野外劇場などを備える総延べ約10万㎡の複合施設。1994年から植林を開始し、設計を安藤忠雄建築研究所が担当して97年7月に着工。99年12月に竣工、2000年3月にオープンした。





【公式ブログ】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら