【講演会】"自己中心的でまわりも見渡せる人に" 安藤忠雄氏が学生たちへメッセージ | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【講演会】”自己中心的でまわりも見渡せる人に” 安藤忠雄氏が学生たちへメッセージ

 兵庫県は9日、安藤忠雄氏による学生向けの講演会「夢かけて走れ」を開いた。安藤氏は自身の経歴や設計した作品を紹介しながら、随所に若者へのメッセージを述べ、「欧米人は自分の考えをはっきりと言うが、日本人はそうではない。近年、世界の中で日本の地位は低下しているが、日本人はもっと自立しなければならない。皆さんには自己中心的でありながら周りも見渡せる人になってもらいたい」と要請した。

 講演では、「わたしは建築や設計の専門教育を受けていないが、建築家を志し、アルバイトの時間以外は猛勉強して資格試験に合格した」と述べた後、「いまは昔と比べ、自分の価値観で生きられる自由な社会になったが、努力はしなければならない」と強調。

 さらに、自身が前を向いて進んでいく中で人脈と仕事が広がっていったことから、「皆さんもできるだけ出歩き、多くの人と交流して友だちをつくってほしい」と呼びかけた。

 また、淡路島にある複合リゾート施設「淡路夢舞台」について設計のポイントなどを説明した後、建設にかかわったゼネコンや設備業者、造園業者らが年に一度現地に集まる同窓会を開いていることも紹介し、「自分たちでつくったものに責任を持たねばならず、こういったことも生きていくためのエネルギーとなる」と説いた。

 大阪市北区の中之島に建設された図書館「こども本の森 中之島」の紹介でも、「モノをつくってどうするかまで考えなければならない。この図書館については本を持って子どもが外にも出られるよう、周りの道路をなくすよう行政側に働きかけ、運営については20年間運営できる寄付を集めた」と述べた。

 この講演会は県内大学との地域創生連携協定事業として神戸市の兵庫県立美術館で実施した。万全の新型コロナウイルス感染症対策のもと、県内の大学生、専門学校生ら約100人が参加し、講演に耳を傾けた。



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