【記者座談会】都道府県・政令市の予算案出そろう/大日本ダイヤコンサル始動へ | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】都道府県・政令市の予算案出そろう/大日本ダイヤコンサル始動へ

A 都道府県・政令市の2023年度予算案が、北九州市を除きほぼ出そろった。どんな傾向になっているの。

B 一般会計は都道府県全体で前年度比0.5%減となった。一方で政令市は7.1%増となっている。ウクライナ危機の長期化といった懸念材料はあるが、コロナ禍の収束による企業収益の持ち直しで税収増を見込む自治体が多い。東京都も一般会計が3.1%増の8兆0410億円で過去最大となった。

A 施設整備などの投資的経費は増えているのかな。

C 普通建設事業費は都道府県、政令市ともに増加している。特に都道府県の普通建設事業費は計6兆6104億円で、29都道府県で増加した。コロナ禍前の20年度の予算額(7兆5124億円)には及ばないものの、建設行政は着実に盛り返している印象がある。コロナ対策に一定の予算を振り分けながら、自然災害に対する防災・減災対策への重点投資も目立つ。

B 例えば、22年に地震の被害想定を見直した東京都が、40年代までの強靱化を目指す「TOKYO強靱化プロジェクト」の取り組みを開始した。総事業規模は15兆円で、今後10年間で6兆円を投入する。岐阜県は流域治水の推進に134億1146万円を盛り込み、県土の強靱化を目指す。

C 全国で公共施設整備の調査・検討も進む。例えば、千葉県は県庁舎等再整備方針を検討するための2カ年調査を実施する。山形県は屋内スケート施設・県立博物館に関する調査・研究等費2100万円を新規計上した。このほか、熊本県が阿蘇くまもと空港アクセス鉄道関連として、JR豊肥本線肥後大津ルート案の検討に向けて測量調査などを進める。

A 大型施設の整備計画が川上段階の自治体も複数ある。今後の動向が注目されるね。

東京都は40年代までの強靱化を目指す「TOKYO強靱化プロジェクト」の取り組みを開始した

対等精神でシナジー、企業価値最大化

A ところで、大日本コンサルタントとダイヤコンサルタントの合併後の社名が「大日本ダイヤコンサルタント」に決まったね。

B 大日本コンサルタントを存続会社、ダイヤコンサルタントを消滅会社として7月1日に吸収合併する。新会社に両社の名前を冠したのは「対等の精神」を重視したからだろう。

C 持株会社のDNホールディングス執行役員経営企画本部長で、大日本コンサルタント取締役兼専務執行役員経営統括部長の原田政彦氏が合併後に社長に就く。対等な目線から統合効果を最大化するためのPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)作業の旗振り役を担ってきただけに、まさに適任といえるのではないか。

B 21年7月の経営統合から2期目だが、この間の決算内容を見ても着実にシナジー効果を発現している。構造物の設計分野と地質の調査・解析という、それぞれの強みを生かしている。例えば、地質リスクが構造物に与える影響を評価し、それを設計方針に生かして成果品を高品質化するなど、上下一体の取り組みが好調な受注や売り上げにつながっている。

A 一方で、7月3日には日本工営が純粋持株会社体制に移行する。

C 大規模化したグループ内の各組織体が自律と連携を深め、意思決定の迅速化と多様性の共存を図るのが狙いだ。四つの主要グループ会社を中心とした強い事業会社の集合体とし、さらに新たな仲間を増やしてグループを拡大していこうという思いも込めている。

B アプローチは対照的だが、企業価値やグループとしての価値最大化を目指している点では同じだ。今後の事業展開に注目したい。

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