【記者座談会】東京都知事選、建設業界の反応/上水運用Cなど視察、岸田首相の狙いは | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【記者座談会】東京都知事選、建設業界の反応/上水運用Cなど視察、岸田首相の狙いは

◇小池知事3選で建設業界に安堵の声

選挙翌日に初庁議に臨んだ小池都知事(左から2人目)


A 東京都知事選が終わったね。小池百合子知事が291万8015票を得て、3選を果たした。

B ポスターの問題など、いろいろな話題を振りまいた選挙だったけど、終わってみれば現職の圧勝だった。個人的な印象だけど、子育て対策やコロナ禍での対応などの実績を超えられる対抗馬がいなかったという気がする。

C 都内の建設業界は、安堵(あんど)したというのが本音だろう。小池都知事がどう、対抗馬がどうというより、新しい知事が登場して注目を浴びれば浴びるほど、入札契約制度や公共事業、業界対応などは振り回されがちだからね。小池知事の初就任時も、都内の建設業界はずいぶん振り回された。

B ある都内建設会社の幹部も「ようやく小池知事への対応に慣れてきたのに、また新しい知事になるのは困る」と選挙直前に話していた。業界との意見交換会などでも、どういう言い回しをすれば小池知事が納得するかという感触がつかめてきたところだったので、ほっとしただろう。ましてや民主党の事業仕分けで辣腕(らつわん)を発揮した人が対抗馬とされていたからね。

C 小池都知事は、『TOKYO強靱化プロジェクト』や「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」など、防災・減災対策には特に力を入れてきた。2024年度予算の投資的経費も国の公共事業関係費に次ぐ1兆0719億円で、4年連続増だ。この流れが変わってほしいという都内建設業者もそういないだろう。

B ただ、入札契約制度の改善も含めて、まだまだやるべきことはたくさんあるのは間違いない。自治体で国内最大の公共事業発注者として、地に足の着いた政策を期待したい。

◇5年で上下水道にDX技術を標準装備

A ところで、岸田文雄首相が8日に愛知県豊田市の上水運用センターと岐阜県恵那市の矢作ダムを視察した。この2カ所を訪れた狙いは。

D 大きく上下水道のDX(デジタルトランスフォーメーション)化と官民連携による流域総合水管理の2点だ。豊田市は作業の効率化に向けて、人工衛星とAI(人工知能)を活用した水道管の維持管理に取り組んでいる。これまで徒歩で網羅的に行っていた漏水調査は、デジタル技術によって大幅に調査期間と費用を縮減した。この取り組みは、内閣官房が主催する「Digi田(デジでん)甲子園2023」の地方公共団体部門で内閣総理大臣賞を受賞するなど、全国的に注目されている。

E 矢作ダムを含む矢作川水系では官民連携し流域治水や水力エネルギー活用、流域環境保全など総合的に取り組んでいる。

A これらの先進的な事業を全国展開していくわけだね。

E 岸田首相は視察後の会見で今後5年かけてDX技術を上下水道の標準装備とする考えを示した。流域総合水管理では流域単位で流域データと観測データを総合的に共有するため、国の来年度予算に事業費を計上する予定だ。全国の1級水系でもAIやデジタル技術を導入し、災害リスクの最小化を図る。

D 会見では、10月までに重要施設に関わる管路の耐震状況を緊急点検するとともに、今年度内に全ての自治体の上下水道耐震化計画を策定・更新させる方針も伝えた。

B 能登半島地震では6県で約13万6000戸が断水した。災害時は道路の寸断などによって給水車の支援ができなくなる状況も考えられる。特に病院への給水は人の命に密接に関わる。一刻も早く耐震化を進めなければならない。

 

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