【土居さん(明大)『建築家のパラドクス』】せんだいデザインリーグ2023卒業設計日本一 | 建設通信新聞Digital

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【土居さん(明大)『建築家のパラドクス』】せんだいデザインリーグ2023卒業設計日本一

『建築家のパラドクス』の提案模型

 国内最大規模の卒業設計コンクール「せんだいデザインリーグ2023卒業設計日本一決定戦」のオンライン公開審査が5日、仙台市内のせんだいメディアテークで開かれ、土居亮太さん(明大)の『建築家のパラドクス-制御不能な野生の面影』が日本一に輝いた。2位は大岩樹生さん(法政大)の『都市の再生速度-現代的鑑賞から考える東京駅の劇場』、3位は奥田涼太郎さん(武蔵野美術大)の『海への“おくりもの”』を選定した。
 土居さんは、自身が建築家・D氏となって設計した邸宅を第三者の立場で改めて建築思想を読み解くことで、建築家が抱える共通の課題を追求した。邸宅の設計は、自然エネルギーや廃材などを活用することで他者や都心インフラなどとの関わりを絶ち、独創的な建築を目指した。ただ、構法などの制限にとらわれることで伝統的建築との類似性が生じたため、「この矛盾に向き合うことで、人とものが自由に振る舞える建築につながる」と提唱した。

 土居さんは、審査員長を務めた建築家・塚本由晴氏(アトリエ・ワン共同主宰)から表彰された後、「卒業設計の内容を言語化することに苦労したが、物語設定やテーマを高く評価していただいた」と語った。

 総評で塚本審査員長は「近年の建築はコストと時間に追い込まれ、建築の持つ価値が解体されている。建築家は“まちはこうあるべきだ”と考えているが、社会からは建築が生み出す価値が尊重されていない。こうした中、どうすれば建築の価値が再構築できるのかチャレンジしてほしい」と話した。

 仙台建築都市学生会議が主催する「せんだいデザインリーグ」では、学校やエリアの枠を越えて全国で建築を学ぶ学生の卒業設計を仙台市に一堂に集め、開かれた大舞台で日本一を決めている。21回目となった今回の審査は、塚本氏ら審査員5人が担当した。全作品の中から予選、セミファイナルを経て、ファイナルに進出した10作品の公開プレゼンテーションなどを踏まえて、上位3作品と特別賞2作品を決めた。

 特別賞は次のとおり(敬称略)。
 ▽元町オリフィス-分裂派の都市を解く・つくる=平松那奈子(京大)▽生活景の結い=石川航士朗、糸賀大介、大竹平雅(いずれも早大)。



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