【記者座談会】設備7社がBIM研究連絡会/熊本に半導体工場 ラッシュ続く | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【記者座談会】設備7社がBIM研究連絡会/熊本に半導体工場 ラッシュ続く

【企業の垣根を越えた取り組み活発化】

A 施工技術に関連したロボットなどを共同で研究開発するゼネコン各社の「建設RXコンソーシアム」のように、企業間の垣根を越えた取り組みが活発化している。建築設備業界でも新たに「設備BIM研究連絡会」が発足した。大手建築設備7社が参画している。

B BIMは施工品質の向上に加え、業務効率化などの効果も期待できる。2024年4月から建設業でも始まる時間外労働の上限規制に対応するため、生産性向上につながるツールであれば、どんどん活用したいと考えているのだろう。

C ただ、効果は期待できても建設業界全体で見ると、BIM導入の足並みがそろっていないとの指摘も多い。設備会社の中にはBIMソフトを4種類以上も導入しているところがあり、負担も大きい。研究連絡会ではオートデスクのソフト「Revit」を使って、最終的にBIMの標準化を目指すとしている。

D 新たな組織ではないけれど、KDDIとKDDI総合研究所がエレベーター国内5社それぞれと接続試験をすることで合意した。メーカーや用途を問わず、多様なロボットを一元管理する両社開発の「ロボットプラットフォーム」と、メーカー各社のクラウドを接続してロボットのエレベーター移動を検証する。

B 少子高齢化に伴いサービスロボットの導入ニーズは高まっているが、現在ではメーカーや用途が異なると、ロボットの種類ごとにエレベーターと接続しなければ、ロボットはエレベーターを使ってビル内を移動できない。

A いずれにせよ、新たなステージを切り開くため、各社が協調することは歓迎すべきことであり、数は力となる。業界の力を結集して確実に成果を出し、いまある課題を解決することに期待しよう。

三菱電機が熊本県泗水地区に建設する新工場棟の完成イメージ


【人材確保競争過熱、急がれる新3K実現】

A ところで、熊本ではTSMC(台湾積体電路製造)の進出を機に、半導体工場の建設計画が相次いでいるようだね。

B 豊富できれいな地下水、安価な土地・住宅価格、九州の中心という良好なアクセス環境や豊富な人材など、もともと企業進出には魅力的な土地だったが、TSMCの進出によって関連産業の工場新設や増床などの設備投資が活発になっている。

C 先日、三菱電機もパワー半導体の生産体制強化に向けた新工場棟を建設すると発表した。投資額は、県内の既存工場の設備増強を含めて1000億円に及ぶ。また、ソニーグループは数千億規模の半導体の新工場を計画している。TSMCの第2工場の立地も期待されている。

A まさに、熊本が半導体の一大集積地になろうとしているね。

B 地価にも表れている。県が発表した22年の地価調査によると、TSMCが立地する菊陽町の工業地は前年からの上昇率が全国トップの31.6%となった。上昇は周辺の自治体や商業・住宅地にも波及している。

D 周辺自治体は工業団地を相次いで計画し、県でも工場集積を踏まえたルートで熊本空港への鉄道延伸が決まったようだ。

A 建設産業界の反応はどうだろう。

B 「あと数年は大丈夫」と歓迎する一方で、一過性に過ぎないという冷ややかな声も聞こえる。

D 人材確保が厳しくなるという声もある。TSMCは1000人超の採用を見込み、大卒初任給を28万円にすることを打ち出した。県相場から4割程度も高い破格の額だそうだ。

A 建設業も新3K(給与・休暇・希望)の実現が急がれるね。