【記者座談会】第1党となった「都民ファーストの会」議会チェック機能どうなる?/「建設産業政策会議」の最終報告まとまる | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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【記者座談会】第1党となった「都民ファーストの会」議会チェック機能どうなる?/「建設産業政策会議」の最終報告まとまる

7月5日に行われた都民ファーストの会の当選者研修会で、特別顧問としてあいさつする小池知事


A 東京都議会議員選挙が2日に投開票された。選挙の結果を受け、今後の都政はどうなるのかな。
B 小池百合子知事が代表(現在は特別顧問)を務めていた地域政党「都民ファーストの会」が49議席を獲得し、第1党となった。公明党などの支持勢力を加えると79議席にのぼり、定数127議席の過半数を超える圧勝だった。自民党は過去最低の23議席と大敗した。知事の政策や考えがすんなり通ってしまう可能性もある。これまで以上に議会として知事に対するチェック機能が問われることになるだろう。
C 市場移転問題や入札契約制度改革などの動向も気になる。市場移転問題では、知事がこれまで「第3の道はない」と2択を示唆しながら、市場機能を豊洲に移転し、築地市場を再開発する市場両立案を選挙告示3日前に発表した。都議会自民党は「一切議会に報告することなく独断で発表した」と反発した。知事は両立案の臨時会見で「最終的には都議会が決める」と発言していたが、これからは第1党として公正な態度で臨んでほしい。
A 6月26日からは財務局公告案件の入札契約制度改革の実施方針に基づく試行が始まった。
D 初弾案件12件のうち、2件の入札で「希望申請者が1者以下」だったため、実施方針に基づき契約手続きを中止した。財務局は希望申請者が1者かゼロ者か明らかにしていないため、何とも言えないが、今後は制度自体の検証でも、議会としてのチェック機能が求められる。

『建設産業政策2017+10』 10年後見据えた制度インフラの再構築

A ところで、建設産業界の耳目を集めてきた「建設産業政策会議」の最終報告がまとまった。提言のタイトルは『建設産業政策2017+10』。“+10”に議論の前提となってきた10年後を見据えた制度インフラの再構築に対する思いを込めた。
E 最終回となった6月30日の会議で印象深かったのが、提示された事務局のとりまとめ(案)に対する有識者の反応だ。「若い人たちに明日の建設産業を語ろう」という副題や「あなたは若い人たちに明日の建設産業をどう語りますか」という問いかけで始まる書き出しを複数の委員が絶賛。いい意味で役所っぽくない表現に「エレガント」「ロマンチック」「オシャレ」と賛辞の声が上がった。
A 肝心の中身はどうなのかな。
F 昨年10月の会議の設置から、とりまとめまでの約10カ月でワーキンググループの検討を含めると計16回の会合を開催。一つひとつ丁寧に議論をしてきただけあって、これからの産業政策の羅針盤と言える仕上がりではないか。最大の課題である「担い手の確保」と、それを実現するための手段である働き方改革や生産性の向上を軸にした多方面からのアプローチを、具体化すべき施策群に落とし込んでいる。
A 4日に石原邦夫座長から提言を受けた石井啓一国土交通相も「必要な制度インフラについて、踏み込んだご提言をいただいた。必要な法改正も含め、着実に施策を実現・具体化していく」と力を込めた。
E 既に政府の「建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」で週休2日を前提とした工事発注や適正な請負代金での契約など、その基本的な考え方を示す「適正な工期設定等のためのガイドライン」の8月中策定を表明した。月内に開く中央建設業審議会で経営事項審査の見直しや約款の改正を議論する見通しだ。

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