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【レジリエンス社会へ】関西大学社会安全学部・社会安全研究センターセンター長・特別任命教授 河田惠昭氏

最終更新 | 2023/05/02 12:25

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平時・災害時で広域連携を 変化する都市の弱点に対応

 わが国は1995年の阪神・淡路大震災を経験し、多くの犠牲と引き換えに貴重な教訓を得た。しかし、30年以内に70-80%の確率で発生すると予想されている南海トラフ巨大地震に向けた対策が構築される中、日本全体で取り組むべき課題は多く残されている。過去の地震から得られた教訓を踏まえ、今後の日本が解決しなければならない課題について、河田惠昭関西大学社会安全学部・社会安全研究センターセンター長・特別任命教授に聞いた。

河田惠昭氏

 関東大震災から100年が経過しようとしている中、「当時と比べると首都圏の人口は10倍に増え、社会経済活動も一極集中している」と指摘。今後、首都直下地震が起こった場合、「『災害の相転移』が原因で被害が甚大となり、全国に波及して国の衰亡が始まる」ことを懸念している。

 阪神・淡路大震災では、古い木造住宅によって多くの犠牲者が出たため、「住宅の耐震化が進んだ」と震災後の変化を説明した上で「大都市の弱点は時代とともに変化しており、発生する被害の規模や内容はさまざまな理由で変わる。一方で防災対策は変化に十分対応できていない」と警鐘を鳴らす。

 これまで過去の災害を研究してきた立場から「東南海地震は予知できない」という。例えば、1854年の安政東海地震・安政南海地震は、11月4日に東海地震、翌5日に南海地震が起きた。また、1944年に東南海地震、46年には南海地震が発生した。

 「過去の南海地震と東南海地震は、全て起こり方が違う」とした上で、「常に最悪のシナリオを想定しなければならない」と力を込める。

 実際に地震が発生した際の危機管理体制にも注意を促す。「南海トラフ地震で負傷者が発生した場合の各地域における拠点病院の役割・体制が整っていない」ほか、「関西電力は30%の発電能力が停止すると予測されている」とも。「漠然とした想定はあるが、より具体的な対策を講じる必要がある」と指摘する。

 津波避難対策にも課題がある。「例えば、10mの津波避難タワーを整備すれば、ほかの地区の住民は『10mの高さまで避難しなければいけない』と思ってしまう。逆に津波防波堤を整備しても数百年から千年に一度程度の極めて低頻度で発生するレベル2津波であれば避難が必要なのに、『防波堤があるから避難しなくても大丈夫』と思われる」と具体的な情報提供の重要性を説く。

 今後必要な備えについては、「防災だけ、自分たちの地域だけと個々で考えるのではなく、広い視野を持って考えるべきだ」と主張する。

 具体的には、紀伊半島を一周する暫定2車線の近畿自動車道紀勢線ともう一つの熊野古道と並行する2車線ルートの整備を挙げ、「京都や大阪、奈良などを多拠点化し、これらをネットワークで結ぶことにより、共存共栄を実現できる」と個々と全体をつなぐ意義を強調する。

 また、ネットワーク整備は観光開発にも貢献する。2016年熊本地震と20年7月豪雨を経験した熊本県は、観光開発を進めている。空港コンセッション(運営権付与)方式を導入した熊本空港では、新たなターミナルビルが完成し、地域の農産物を輸出できる体制を整えた。「観光・経済・暮らしの中に防災がある。平時と災害時、双方で広域的に連携してほしい」と呼び掛ける。



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