【現場最前線】鉄道運行も人の流れもそのままに 佳境に入った横浜駅西口駅ビル工事 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【現場最前線】鉄道運行も人の流れもそのままに 佳境に入った横浜駅西口駅ビル工事

集客拠点の一翼を担う商業施設や業務施設を整備する

 6月10日土曜日の深夜。国内でも屈指の乗降客数を抱える横浜駅で、(仮称)西口駅ビル工事が1つの節目を迎えた。JR東日本が計画し、竹中工務店が施工を担当するプロジェクトで、駅の“顔”となるアトリウムを含むエリアの着工に向けた仮設中央通路の切り替え工事を実施した。着工から約1年9カ月。鉄道運行への影響がないことを第一に、24時間体制で工事が進む。当たり前と思われがちなインフラを陰で支えながら、ビルは2020年の開業を目指している。

現在の西口駅ビル

 同ビルは、国際都市の玄関口にふさわしい魅力とにぎわいを形成する。周辺エリアの集客拠点の一翼を担い、エリア価値向上に寄与する商業施設とともに、駅直結の利便性を持ち、国際競争力の強化につながる業務施設などを整備する。工期4年超の大型プロジェクトだ。
 地域コミュニティーの交流の場となる、4層吹き抜けの明るく開放的でドラマチックな空間を持つアトリウムも設置する。ファサードデザインは、▽横浜らしさ▽ゲート▽港▽船--などをイメージする。意匠・機能的にもビルの重要な部分となるだけに、同日を境に工事は佳境に入った。
 1時間当たり3.8万人が通行可能な流動確保を求められるなど、駅で最も乗降者数が多い鉄道出入り口のある中央通路からバスターミナルなどがある中央西口駅前広場へとつながる通路が切り替え工事の現場となった。
 計画ビルの南側に位置し、この通路上部にアトリウムを含んだ低層棟を配置する。北側部分は先行した鉄骨建て方が順調に進んできたことから、今回、南側部分に工事の範囲を広げる。

駅の“顔”となるアトリウムの完成イメージ

 作業は、1週間のうちで最も利用者に影響が少ないタイミングを狙い、土曜日の深夜から日曜の早朝にかけて行われた。
 京浜東北線の下り最終列車が発車し、最後の乗降客を見送った午前1時30分ごろ、各班に分かれた技能労働者らが一斉に作業に着手した。仮囲いの切り替えや誘導タイルの張り替え、案内サインの交換などを手際よくこなした。3時30分までの約2時間で作業を無事に終え、いつもどおりの日曜の朝を迎えた。

深夜から一斉に切り替え工事に着手した

 今後は既存構造物の解体工事から、杭打ち、根切り、鉄骨建て方などを進める計画だ。途切れることのない人通り、背後に走る横須賀線の電車、隣接する営業中の商業施設など、工事を進める上での難条件は数え切れないほどある。
 だが、これらの条件を前にして竹中工務店の増村清人執行役員総括作業所長は「リスクの極小化を常に心掛けていく」と冷静さをのぞかせる。工事部隊を統括する根本真作業所長(現場代理人)は「音や安全にさらに配慮し、工事を進めていきたい」と気を引き締める。
 施設規模は、S一部SRC造地下3階地上30階建て延べ9万7763㎡。予定工期は20年3月まで。設計はJR東日本東京工事事務所と横浜駅西口開発ビル設計共同企業体(ジェイアール東日本建築設計事務所、ジェイアール東日本コンサルタンツ)が担当している。建設地は西区南幸1-1-2の敷地8675㎡。

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