【BIM2023②】コンピュータ教育振興協会 資格試験スタートしBIM人材育成 | 建設通信新聞Digital

5月21日 火曜日

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【BIM2023②】コンピュータ教育振興協会 資格試験スタートしBIM人材育成

 コンピュータ教育振興協会(ACSP)が、『BIM利用技術者試験』の創設に踏み切った。6月19日から筆記の2級試験を開始し、2024年度から1級、準1級の実技試験に乗り出す。佐藤文武理事・事務長は「ようやくスタートラインに立った。企業のBIM導入を後押しする人材をコツコツと育てていきたい」と力を込める。

 製造業系で1990年に2次元、2003年から3次元のCAD利用技術者試験を行い、これまでに累計60万人の受験者数を誇るACSPにとって、BIM試験は長年の念願だった。国土交通省の建築BIM推進会議の動きに合わせるように創設の準備を進めてきた。コロナ禍で中断を余儀なくされたものの、6月19日からスタートとなる2次試験の開催にこぎ着けた。

 BIM利用技術者試験は2級(筆記・知識試験)と準1級・1級(実技・技能試験)の構成となり、2級合格者には準1級と1級の受験資格が与えられる。準1級は主体的なモデリング業務が行える即戦力の人材を想定、1級は企業のBIM指導者や教育機関講師やインストラクターを担えるハイレベルの人材に設定する。

 協会事務局の原田剛志氏は「基礎レベルから順を追ってステップアップする流れを確立し、BIMスキルの見える化につなげたい」と説明する。特にゼネコンや設計事務所などの企業側には「BIMオペレータを採用する際の目安として活用してほしい」と呼び掛ける。いずれは人材派遣会社とも連携する計画だ。

 本試験に先立ち、ことし2月に実施した公開トライアル試験には580人が応募し、このうち200人が無料で2級受験ができる権利を得た。協会は23年度の2級応募者として500人ほどを見込んでおり、24年度には1級と準1級を合わせ200人程度の応募者を想定している。

 2級試験は、年間を通じて受験できるようにネット試験を導入、公式テキストとしてBIM教育普及機構編著『建築BIMの教科書 改訂版』(日刊建設通信新聞社発行)の採用も決めた。実技は『Archicad』『Revit』『Vectorworks』『GLOOBE』の4ソフトに対応できるように準備している。
 佐藤氏は「当面の受験者は企業のBIM担当やオペレータが中心になるが、5年後にはBIM教育の進展に合わせ、大学生や専門学校生などの受験も増えてくるだろう」と見通している。BIM導入プロジェクトの拡大を背景に、資格の部分に具体的な動きが出てきたことで、日本のBIMは1つ上のステージに進展しようとしている。

原田氏(左)と佐藤氏



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