福岡県は4日、福岡市の西鉄ホールで、県の新たな文化芸術の拠点となる新県立美術館を考えるワークショップ「新県美デザインワークショップvol・1 隈さんと語り合おう」を開いた。県内外から約300人が参加し、基本設計を担当する建築家・隈研吾氏の話に耳を傾けた。
施設の老朽化などに伴い福岡市中央区の大濠公園南側県有地に新美術館を建設し、既存の日本庭園と一体的に整備する。施設規模は、新美術館本体が約1万4000㎡、地下駐車場を含め2万1000㎡程度を想定している。概算工事費は、美術館本体のほか、日本庭園、外構整備を含め147億円(税別)を見込む。大濠公園が開園100周年を迎える2029年度の完成を目標に、隈研吾建築都市設計事務所で基本設計を進めている。
当日は、隈氏がこれまで手掛けた国内外の代表的な建築作品や新県立美術館のコンセプトを解説した。隈氏は、地域の景観や特性など“地域らしさ”を生かすことが重要であると考え、地域産材を使うことで地球環境に優しい建築を心掛けているとした。
新県立美術館のコンセプトについては、「アートと人のコミュニケーションを生み出す」ことを意識し、西公園と大濠公園、六本松の南北をつなぐ動線「アーバンスリット」、建物と日本庭園の東西をつなぐ動線「メディアヴォイド」を設けるとした。
質疑応答では、新県立美術館の設計に応募したきっかけについて「福岡がアジアのアートの中心になれる場所だと感じた」と語った。次回は秋ごろの開催を予定している。