【関東大震災100年でセミナー】最新制振システムを体感/清水建設 | 建設通信新聞Digital

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【関東大震災100年でセミナー】最新制振システムを体感/清水建設

大振幅振動台「E-Spider」


 清水建設は26日、東京都江東区の同社技術研究所で報道機関向けの地震体験セミナーを開いた。9月1日で関東大震災発生から100年を迎える中、研究開発の成果を広く周知することなどが狙い。参加者は、地震による揺れや地震対策の効果を体感できる大振幅振動台「E-Spider」に搭載したキャビンに乗り込み、複数パターンの揺れを体感した。新たな制振システム「BILMUS(ビルマス)」の効果に驚きの声があがった。

 冒頭、同社執行役員の掛川秀史技術研究所長は「100年前と比較すると東京など大都市圏では人口や機能が集中し、地震に対する脆弱(ぜいじゃく)性が高まっている。マグニチュード7クラスの首都直下地震は今後30年以内に70%の確率で発生するといわれている。大都市圏では大地震に対する備えを欠かすことはできない」と語った。

 セミナーでは、地震対策に関わる研究開発の成果の一環として最新の知見に基づいて再現した関東大震災の揺れと、今後首都圏で想定される大地震の揺れについて、技術研究所の小穴温子氏と宮腰淳一氏が「関東大震災と首都圏で想定される大地震」と題して講演した。

 その後、会場を先端地震防災研究棟に移し、「地面の揺れ」「一般的な超高層」「新しい制振架構(BILMUS)」の3タイプで東京・大手町における関東大震災の地震動を体感した。地面の揺れ以外の2タイプは、35階建て(高さ150m)の最上階にいる設定とした。

掛川所長


 地面の揺れと一般的な超高層では地震動とともに体全体が大きく振られた。一方、上層階と下層階を構造的に独立させ、双方を免震建築に用いる積層ゴムとオイルダンパーで連結するBILMUSを採用した場合は、揺れが大きく低減した。上層階と下層階が互いの揺れを打ち消す方向に揺動するためで、参加者は「体が振られない」などと感想を述べていた。

 掛川所長は地震対策の研究開発に注力する理由について「建物を倒壊させないことはベースとしてあるが、現在の安全・安心はそれだけでは成り立たない。在館者の方々が安心して過ごせるような施設を提供するため、BILMUSのようなメニューを増やしていきたい」と述べた。

 セミナーには約40人が参加するなど関心の高さをうがわせた。

 

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