【動画ニュース】五洋建設ミュージアム開設/スエズ運河改修カッターヘッドなど展示 | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【動画ニュース】五洋建設ミュージアム開設/スエズ運河改修カッターヘッドなど展示

 

◆ミュージアム詳細の動画ニュース
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◆技術を軸に歴史とCSR活動発信/建設業の未来につながる施設

 五洋建設は、栃木県那須塩原市にある技術研究所内に「五洋建設ミュージアム」を開設した。2021年に迎えた創業125周年を契機として、同社の持つ強みや特色、今後の方向性、そして誇りを発信・共有できる「技術を軸とした歴史とCSR(企業の社会的責任)活動の発信拠点」として整備を進めてきた。「歴史」「グローバル」「未来」の三つのテーマエリアを設け、訪れた見学者が歴史や実績を実物・映像で実感し、未来の建設業の姿を体験できる施設が誕生した。

エントランス


◆進取の精神
 技術研究所のエントランスホールには「五洋建設ミュージアム」の名板が取り付けられた天然木の壁を設置し、見学者をミュージアムへと自然にいざなう。ミュージアムへと足を踏み入れた見学者の視線を引きつけるのは、アトリウム(吹き抜け空間)に鎮座するカッターヘッドだ。海外進出の先駆けとなったスエズ運河改修プロジェクトで使用したもので、重さは約10tあり、展示のために床も改修した。

 アトリウムの大空間を海中に見立て、海底を力強く掘り進めるイメージをつくり出している。カッターヘッドの背後では同プロジェクトを回顧する映像を放映。落札前に浚渫船を建造し、現地に回航させるなど、並々ならぬ覚悟で臨んだ同プロジェクトを取り上げることで経営理念である『進取の精神』を見学者に訴えかける。

 
 

エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイの模型


 スエズエリアと対をなすのは同じく進取の精神を代表するシンガポールでの実績だ。同国建国の1年前の1964年3月のジュロン造船所ドック岸壁工事に始まり、約60年に渡って数多くの大規模事業に携わってきた。特に埋立事業ではジュロン・トゥアス地区をはじめ建国後の埋立面積の約4割、元の国土面積の1割にも及ぶ事業量を担った。

 建築でもシンガポールを象徴するオペラハウスのエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイなどを手掛けてきた。ミュージアムでは同施設の模型を展示するほか、これまでの軌跡を映像でまとめ、シンガポールでの実績と信頼を表している。

 
 

歴史エリアで展示を開設する清水社長


◆挑戦の歴史
 歴史エリアでは1896年に広島県呉市で水野組として創業した同社の挑戦の歴史を振り返る。戦前の近代国家への成長や戦後の復興期を海の土木工事を中心に支え、過去の建設市場の縮小も優れた技術力と経営力で乗り越えてきた道程を代表的なプロジェクトとともに説明する。

 展示のデザインは海を示唆する青色と白色を基調とした空間に実物の展示物や写真を並べ、あたかも海中を浮遊しているかのような印象を受ける。展示物は当時の潜水服やマスコットキャラクターである「Mr・PENTA」のぬいぐるみなど多岐に渡り、楽しみながら学ぶことができる内容となっている。

 
 

未来エリアは展示内容を更新できる仕様となっている


◆技術の創造
 未来エリアではこれからを創造する最新技術や取り組みを紹介する。DX(デジタルトランスフォーメーション)のコーナーではBIM、BIM/CIMの活用やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)の試みなどを例に、機械と人をデジタル情報でつなぎ、建設事業を革新する取り組みを説明する。

 社会的な要請が強まっているカーボンニュートラルの実現に対しては、洋上風力やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)など同社が強みとする技術分野を解説。展示空間は内容を適宜更新していける仕様としており、今後の技術の進化に合わせてアップデートしていく予定だ。
 
 
 
 
◆担い手確保にも貢献

 五洋建設技術研究所は1994年に東京都品川区から那須塩原市に移転し、来年で30周年を迎える。その節目を前にミュージアムが完成した意義は大きい。

 清水琢三社長は「希望される方がいれば、できるだけ多くの人にこの施設を見ていただきたい。また、地域の小中学生の社会科見学などにも協力し、担い手の確保につながれれば良いと考えている」と、業界や地域に開かれた展示施設としていきたいという考えを示した。125周年のメッセージにある「新たな挑戦がはじまる~歩んだ軌跡が未来をつくる」の通り、将来の五洋建設や建設業界の発展につながる役割を担い続けていく。
 
 


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