【経営軸線】野原グループが7月に誕生 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

B・C・I 未来図

【経営軸線】野原グループが7月に誕生

点群にモデル統合の流れ拡大/工事測量の付加価値として3次元計測
 野原グループは、7月1日付で野原産業を存続会社とするグループ会社4社の統合により、「野原グループ株式会社」として新たなスタートを切った。同社が注力する建設DX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業や、主力サービスであるBIMで設計、製造、施工を支援するプラットフォームのBuildApp(ビルドアップ)を強化し、企業成長スピードを加速する。また、同社はきょう11日に創業から425年、設立から76年を迎える。“新生・野原”をけん引し、「当社の命題は、建設DXを進めること」だと力を込める野原弘輔社長に今後の展望を聞いた。

野原社長


◆ビルドアップの強化が軸
 今回のグループ再編の目的は、2022年1月に提供を開始したビルドアップをさらに強化することが主軸となる。21年以降、中堅からスーパーゼネコンを含め数十社とビルドアップを使った実証を行ってきた。その上で、現在はサービスの中身を充実させる期間と位置付ける。そして、24年の夏をめどに本格的な営業展開を予定している。「将来への展開や、顧客にサービスを届ける方法を模索するには、グループの再編が適していると判断した」と説明する。
 本格営業の展開に向けて、具体的にはサービスのUX(ユーザー体験)を高めて使い勝手の良さを追求し、ソフト面をアップロードする。実証からのフィードバックにより、サービスの内容や質も改善していきたい考え。

◆業界のスタンダードへ
 建設業界全体に目を向けると、共通の目標は「優秀な若手が入職し、働きが報われる給料がもらえるようになること」と認識する。それに向けて、「ビルドアップを新しい時代の建設業のプラットフォームにしたい」と意気込む。最終的には「上場している全てのゼネコンのほか、専門工種やメーカー、職人も集まって建設現場の生産性が上がることが理想だ。当たり前のようにビルドアップを導入してもらい、業界のスタンダードとする」ことを目指す。
 ビルドアップを業界の標準としたい背景には、社会を作り、良質なインフラを提供する建設業界における人手不足を挙げ、「このままではインフラを供給できなくなり、産業が衰退する恐れがある」懸念を示す。このような状況下で「働き手が不足している中でいかに作業効率を高め、現場の生産性を上げるかは、建設産業の最大の命題だと感じる」とし、「ビルドアップは人手不足を少しでも助けるサービスであり、企業から受け入れられる余地がある」と期待を込める。

ビルドアップが建設産業で果たす役割


 インフラの構築にはさまざまな業種が関わり、多くの人の協力が欠かせない。「一つの工種が効率的になっても工程全体の効率は変わらない」との考えから、サプライチェーンを一貫してサポートできることもビルドアップの強みとしていく。そのため、「ビルドアップを適用できる工種を拡大する。上流の設計や施主に近いプロセス、下流の現場での物流などに介入し、サプライチェーン全体を最適化する」方向性だ。

◆デジタル使いこなす人材重視
 建設DXの市場環境について、「手をかけなくても必ず伸びる市場」に近いイメージを持つ。「新しい技術はすべてデジタルにひも付くだろう。そうすると、BIMの推進は全世界で必然になる」という。
 一方、「デジタル技術を使いこなし、どのように現場に適応させるかが課題」だとする。そのためには、デジタル人材の採用・教育や、導入しやすい企業文化の醸成の必要性を説く。「組織は意思決定にも関わる。ここでデジタル化に踏み出せるかどうかは大事な部分だと感じる」ことから、会社全体を巻きみ、現場でデジタル技術を使いこなせる人材の採用や教育を重要視する。
 産業の変化に伴い職種や企業の役割も変わる必要がある中で、「企業は人がすべて。われわれ自身もデジタル化しなければいけない」とし、人材への教育や投資を惜しまない姿勢を見せる。「デジタル技術でどのように仕事を変えるのか、先を読めるかどうかが重要」とも話し、IT関連の研修にいっそう注力していく。

ビルドアップのロゴ



【B・C・I 未来図】ほかの記事はこちらから



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら