【BIM/CIM未来図DX】NiX JAPAN(1) | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM未来図DX】NiX JAPAN(1)

発注者から評価されるツールに成長/業務成績アップの効果鮮明に
 7月1日に社名変更した総合建設コンサルタントのNiX JAPAN(富山市、旧新日本コンサルタント)が、BIM/CIMを効果的に活用し、業務成績の評価点アップにつなげている。2021年度に埼玉県発注業務の最高点を獲得、22年度は水資源機構や東京都から優良表彰を受けた。BIM/CIM推進室長を務める升方祐輔空間情報部部長は「発注者から評価されるツールとしてBIM/CIMを使いこなしていく」と手応えを口にする。

 21年7月にBIM/CIM推進室を立ち上げた。愛用するオートデスクの汎用(はんよう)CAD『AutoCAD』を使い、3次元設計に取り組んでいた4人をコアメンバーに位置付け、試行的に活動を始めた。翌年には人材育成にも乗り出し、実業務での導入を少しずつ増やしながらBIM/CIMの経験値を積んできた。

水資源機構発注の管理橋耐震補強実施設計業務

 活動当時は、国土交通省のBIM/CIM原則適用時期が23年度に2年前倒しされ、建設コンサルタント各社が導入準備に力を注いだ時期でもあった。同社は「劣勢技術の回復」を掲げ、BIM/CIM活用にかじを切った。当初の推進室は社内の受け皿として、相談事や業務の一部を引き受ける外注組織として位置付けてきた。

 升方氏は「技術者自身がBIM/CIMを必要視し、自立した使い方をしなければ、効果を引き出すことはできない」と考え、社内の各グループが主体的に取り組むように方向転換した。技術者一人ひとりが活用目的をきちんと定め、それを実現するために必要な情報をどう取得、加工し、運用していくか。そのために必要なソリューションがあれば積極的に整備する方針も掲げた。「いまは運用方法とソリューションを駆使し、業務に合う形に最適化する」ことを目指している。

 導入から3年が経過し、まだ温度差はあるものの、構造、道路保全、流域保全、上下水道、計測、都市環境の各グループでは活用が着実に進んできた。23年度を「実践ステージ」と定め、BIM/CIMを効果的に「使う」ことを目標付けた。これまではBIM/CIMデータを「作る」ことに注力していた。何のためにBIM/CIMを活用するべきかを技術者一人ひとりがしっかりと考えることを明確化した。

BIM/CIM導入ステージの推移


 升方氏は「役立つことに気が付けば、自然と普及していく」と考えている。若手からベテランまで年齢や経験を問わず、技術者が「BIM/CIMを自分事化する」ことを重要視している。23年度の活動方針として、業務の計画段階からBIM/CIM活用の目的を定め、業務プロセスと結果の見える化を掲げた。毎月のトップミーティングでは、各グループの取り組み状況を報告する場を設け、成功事例を全社に水平展開する試みもスタートした。

 社内では、各グループをけん引するように、東京本社構造部の構造橋梁グループが先頭に立ってBIM/CIM活用を推進している。その成果として、業務成績の評価点も向上してきた。21年度は埼玉県発注の橋梁耐震補強設計で、その年の最高点となる評価90点を獲得した。22年度には水資源機構発注の管理耐震補強実施設計と東京都水道局発注の水管橋耐震補強設計で、いずれも78点を獲得し、それぞれ優秀表彰も受賞した。升方氏は「担当者が業務の円滑化に向け、BIM/CIMをどう活用すべきかを考え、実践してきた成果が業務成績アップという目に見える“カタチ”となっている」と強調する。

けん引する東京本社構造部構造橋梁グループ



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