【BIM/CIM未来図DX】NiX JAPAN(4) | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【BIM/CIM未来図DX】NiX JAPAN(4)

 NiX JAPAN(富山市、旧新日本コンサルタント)が、2022年度に水資源機構の優秀表彰を受けた管理耐震補強実施設計業務は、東京本社構造部構造橋梁グループの雷暁宇係長と横田真育主任の2人が担当した。社内で運用するBIM/CIM教育支援プログラムを受講し、3次元ツールの操作方法を学び、業務に挑んだ横田氏は「初めての3次元で苦労したが、イメージしながら業務を進められる見える化の有効性を知ることができた。何よりも経験豊富な先輩がいる安心感が大きかった」と振り返る。

付加価値としてBIM/CIMを活用


 ペアを組んだ雷氏は、学生時代から3次元CADの経験を積んできた。21年度に埼玉県発注業務評点で90点という最高得点を獲得した橋梁補修工事耐震補強設計業務の担当者でもある。「業務の見える化によって、発注者との協議を円滑化できる点がBIM/CIMの利点だけに、実践しながら3次元の使い方を覚えていくことがとても有効」と考えている。

 同社は、オートデスク製品の販売代理店である大塚商会の協力を経て、21年度から教育支援プログラムの運用を始めた。汎用(はんよう)CAD『AutoCAD』やBIM/CIMソフト『Civil 3D』に加え、BIMソフト『Revit』、コンセプトデザインソフト『InfraWorks』、3次元ビューアツール『Navisworks』、ビジュアルプログラミングツール『Dynamo』を対象に計11の受講プログラムを取りそろえる。

 技術者が自主的に受講する枠組みとして運用しており、これまでに20代から30代の技術者を中心に延べ150人が受講した。大塚商会のエンジニアが講師役を務め、ツールの有効な操作方法を伝授している。大塚商会城西営業部CAD販売1課の寺本康弘係長は「業務の中でどう使っていくか、具体的にイメージを持ちながら取り組んでいる姿勢が他社との違い」と説明する。

21年度から教育支援プログラムをスタート


 NiX JAPANでBIM/CIM推進室を務める升方祐輔空間情報部部長は「人材教育の成果として、先行する構造橋梁グループ以外でも業務の中にBIM/CIM活用の流れが広がり始めている」と強調する。上下水道グループでは配管類まで3次元モデル化した上で耐震補強方法を計画立案している。自主的にBIM/CIMチームをつくり、国土交通省直轄業務を中心に3次元データ活用に乗り出した流域保全グループの石井正人担当次長は「施工ステップによる検証を踏まえ、設計の最適化を進める事例もあり、若手を中心にBIM/CIM活用が活発化している」と説明する。

 構造技術本部長の戸田一夫取締役執行役員は「これまでモデルをつくることに力を注いできたが、これからは各グループが業務の中でモデルを積極的に使っていくフェーズに入る」と強調する。社内をけん引する構造橋梁グループではデータ連携をテーマに、オートデスクのコラボレーションツール『BIM360』を実業務で集中的に活用する試みもスタートした。丸山貴弘担当課長は「発注者や関係者との情報共有を円滑化する手段として、有効なツールになる」と考えている。

 3年前にかじを切った同社のBIM/CIM活用は、業務の最前線で活動する技術者一人ひとりの意識改革を生むきっかけとなっている。先陣を切る構造橋梁グループでは業務成績アップの成果が目立ってきた。升方氏は「各グループで年間1件は優良表彰を受けられるように、業務ツールとしてBIM/CIMを最大限に活用してもらいたい」と力を込める。

(左から)丸山氏、横田氏、升方氏、戸田氏、雷氏、石井氏



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