【BIM/CIM原則化元年⑦】BIM/CIM推進~技術者の意識を変えるには~ エイト日本技術開発 技術本部CIM推進室室長 玉置康雄氏 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【BIM/CIM原則化元年⑦】BIM/CIM推進~技術者の意識を変えるには~ エイト日本技術開発 技術本部CIM推進室室長 玉置康雄氏

各部門で自発的な活動始まる

 エイト日本技術開発は、専任スタッフと、各部門で先駆的にBIM/CIMに取り組む設計の兼務者で構成するCIM推進室を2017年に立ち上げました。BIM/CIMを業務負荷に感じないよう、モデル作成にこだわるのでなく使うことを重視し、設計現場の課題把握と情報共有を行いながら運営しています。

玉置康雄氏

 当初は、社内ポータル掲示板やデータベースによる情報提供、個々のBIM/CIM活用業務他のサポート、事例発表、ベンダーや代理店による研修などを進めてきました。ゲームエンジンを使ったパイロットプロジェクトなどの良い事例もあったのですが、日々業務に追われる設計者には届いてほしい情報がなかなか届かず、研修に参加してもその場限りで身に付かない状況が3年ぐらい続きました。

 そうした状況を改善するため、セミナーや研修の実践の障壁となる記憶、実践、継続の三つの壁を乗り越えることができるよう「リマインドできる情報」「モチベーションと機会創出」「先輩や上司の取り組む意識」「定期的に意識させる」ことを地道に行う教育プログラムをつくり、五つの新たな施策を進めています。

 このうち、成熟度調査では、BIM/CIMに対する設計者の意識を独自の仕様で調査し、定量的に評価しています。基準の理解度などの知識分野、モデル作成など技術分野の2つに分け、5段階の評価基準をつくりました。過不足なくBIM/CIMに対応できるレベルを3に設定し、毎年の調査でBIM/CIM推進の成果を可視化します。

 研修では、それまでの外部研修から、業務を熟知した社員による社内研修に切り替えました。一般的な操作講習ではなく職位に応じたプログラムをつくり、管理職をCIMマネージャー、一般職をコーディネータ(モデラー)に位置づけ、それぞれ対応した集合研修を年1回行います。マネージャーはBIM/CIMが持つ機能や作業ボリュームを学び、業務全体をマネジメントする能力を養います。コーディネータは単なるモデラーでなく3次元モデルを扱う能力、協力会社と協業する際の折衝、モデル作成指導などの実践的な力を磨き、マネージャーから提示されたモデルの作成をコーディネートできるようにします。

 一方、定期的に情報発信するため、毎週開催する「イブニングセミナー」を今年1月から5月まで13回開きました。毎週木曜日16時30分から30分間、ソフトや操作法、周辺技術などを講習しました。繁忙期にかかわらず、平均50人が参加する注目度の高い研修となりました。新たな施策の中で最も効果的な研修になりました。

 また、情報共有の場として、Teamsのチーム「CIM推進室(パブリック)」を開設し、分野を問わず質問・意見交換できる「自由広場」をつくりました。データ処理や業務の相談ができるようになり、BIM/CIMを手掛ける職種の半分の約300人が参加しています。

 こうした取り組みが功を奏し、構造、地質などの各設計部門にBIM/CIMチームが自発的に立ち上がり、意見交換するなどうまく回り始めています。推進室ではこの動きを積極的にサポートしていきます。

イブニングセミナーの概要



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