【3Dプリンター】洋上風力コンクリ浮体模型/大林組 | 建設通信新聞Digital

5月20日 月曜日

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【3Dプリンター】洋上風力コンクリ浮体模型/大林組


 
 大林組は、セメント系材料を使用した3Dプリンターで、テンションレグプラットフォーム(TLP)型浮体式洋上風力発電施設用のコンクリート浮体の模型を製作した。水槽実験で大型の起重機船を必要としないTLP型浮体基礎の設置・係留シミュレーションを行い、設置方法の妥当性を確認した。今後、実験の成果を踏まえて、技術開発と実証実験を積み重ね、具体的な施工方法の確立を目指す。
 TLP型コンクリート浮体は風車を支持する円筒構造物に対して、放射状に三つの円筒形レグが付く複雑な形状で、3Dプリンターでは積層方向に大きく傾斜する箇所があることから、一体造形での製作が難しい。分割して製作した部材を接合する方法であれば3Dプリンターでも対応できるが、接合部を設けるとコンクリート浮体に求められる水密性を確保できないことが課題となっていた。
 そこで大林組が開発した、サポート材を土台としてその上にセメント系材料を吐出して積層する技術を活用。接合部を設けることなく一体造形で高さ約1.3m、幅約2.3mのTLP型浮体模型を製作した。接合部なく複雑な形状を製作できることから、水密性だけではなく、強度などが求められる複雑な形状にも適用できる。
 今回の実験では、えい航、設置、係留のそれぞれの状態を想定し、製作した模型の内部に重量やバランスを調整するバラスト水を入れることで、それぞれの状態を再現。バラスト水の注排水によって浮体の姿勢を制御できることを実証。併せて、シミュレーションソフトの妥当性も検証し、浮体模型の実際の状態と、シミュレーションソフトによる解析結果が一致することも確認した。
 
 

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