1950年代に鉄骨造の住宅作品「SHシリーズ」を発表し、その後、母校の武蔵工業大学(現東京都市大学)で教鞭(きょうべん)をとった建築家・広瀬鎌二の建築作品と活躍を紹介する展覧会「ヒロカマ展」が東京都港区の建築会館ギャラリーで開かれている=写真。
展覧会は、日本建築学会建築博物館が主催。同氏の代表作である「SH-1」をはじめ「肆木(しもく)の家」など、数々の作品写真や各種図面を展示し、その設計思想などを紹介する。
戦後、加倉井昭夫や村田政真の下で建築設計を手掛け、52年に独立して広瀬鎌二建築技術研究所を設立した。木造ではなく鉄骨による住宅の建築を目指し、SHシリーズを設計。鉄骨住宅を手掛ける設計者として、多くの研究者と協働しながらSHシリーズを発展させた。
武蔵工業大の専任教授となってからは活動の拠点を研究室に移し、設計と建築教育の両立に取り組んだ。寺社建築などの伝統木造建築に強い関心を寄せ、研究室の学生とともに設計した木造の自邸「肆木の家」には、基礎や接合部に伝統工法を取り入れた。
展覧会では、SHシリーズの設計原図や竣工写真を中心に公開しており、作品の変遷をたどることができる。また、SH-30の模型や肆木の家の接合部の仕口の原寸大模型なども展示。建築会館のホワイエには、SH-1とSH-30の原寸大鉄骨フレームも設置しており、柱脚部や接合部などのディテールの違いを確認できる。
研究活動などで関わりを持った多くの関係者が、愛称として呼んだ「ヒロカマ」を展覧会のタイトルに取り入れた。会期は12月3日まで。平日午前9時から午後7時30分(土日祝日は午後5時)まで開館している。