【狭所空間で安定・長時間飛行】天井吸着移動型ドローンを開発/東急建設と東京都市大 | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【狭所空間で安定・長時間飛行】天井吸着移動型ドローンを開発/東急建設と東京都市大

開発した機体を使った建築ピット内の調査のイメージ

 東急建設は、東京都市大理工学部の西部光一機械工学科准教授、関口和真機械システム工学科准教授らと共同で「天井吸着移動型ドローン」を開発した。天井にプロペラが近接する際にドローン付近の気流が吹き上がる現象である「天井効果」を活用することで、従来に比べて30%長い連続飛行時間を確保した。建築物の天井裏やピットなどの上下を壁に囲まれた狭所空間での安定飛行と気流乱れの抑制を実現した。

 これまで、作業員のアクセスが困難な狭所空間では、ドローン付近の上下に存在する壁面が原因となる天井効果や地面効果などが起き、壁面とプロペラ気流が干渉することで安定した飛行が困難だった。狭所空間向けに実用化されている「マイクロドローン」は、ペイロードが小さくバッテリー容量が不足しており、十分な調査・検査時間を確保できない課題もあった。

 開発した天井吸着移動型ドローンの機体は、気流の吹き上げと天井吸着を維持したままの直線移動や旋回が可能になる。天井吸着飛行時は、ホバリング時に比べてプロペラ回転数が約10%低下することに伴い、消費電力が約30%削減できる。天井にプロペラが近接するとドローン付近の気流が反転する現象が発生し、天井裏や空調のダクト内といった機体の下部に壁面が存在する場合に作用する地面効果をキャンセルすることも確かめた。

 同ドローンは、車輪駆動で天井面を移動する。気流が反転しているため、従来機体よりも操縦が容易になると見込める。また、吹き降ろし流れが生成されず、ほこりなどが舞い上がらないことで、撮影映像の視認性の向上も期待できる。

 今後、屋内環境下だけでなく、橋梁下といった横風による外乱の影響を受けやすい屋外の構造物の点検、調査作業でも利用していきたい考え。

 

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