【BIMつなぐ新たな潮流⑥】クラウドでデータ出し入れの時代へ パートナー企業もACC注視 | 建設通信新聞Digital

5月13日 月曜日

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【BIMつなぐ新たな潮流⑥】クラウドでデータ出し入れの時代へ パートナー企業もACC注視

 オートデスクのカンファレンス『Autodesk University2023』(AU)会場となった米国・ラスベガスのザ・ベネチアン・コンベンション&エキスポセンターは11月13~15日の開催期間中、1万人の参加者でごった返した。お目当ては600におよぶセッションだけではない。エキスポ会場に出展するオートデスクパートナー企業の最新ソリューションに触れることも目的の一つになっている。

 出展数は約70社に達し、世界各国からオートデスクのパートナー企業が集結した。日本から唯一参加した応用技術はBIMをより便利に活用してもらうことをコンセプトとした『to BIM』ブランドを展開しており、主力となるRevit支援ツール『BooT・one』やプラットフォームツール『ConnecT・one』など六つのソリューションを出展した。

 海外展開の足掛かりにAU出展を決めた同社では、動き出したオートデスクの次世代クラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud』(ACC)を今後の最重点ソリューションの一つに位置付けており、ACCの支援体制を拡充する方針を持っている。高木英一執行役員DX推進本部長は「これからはクラウドでデータを出し入れする時代が到来する。ACCによって日本のBIM活用はさらに進展し、ConnecT・oneによる支援ニーズが一気に高まる」と見通す。既に2年前にACC支援のパートナー資格も取得し、ACC関連で現在7社をコンサルティングしている。

 社を挙げてBIM導入を本格化する日本企業の最前線では、BIMワークフローの確立を目的にCDE(共通データ環境)を構築し、BIM情報管理の国際規格ISO19650を認証取得する流れが広がっている。BIMデータを設計から施工、そして維持管理まで建設ライフサイクルを通じて活用するニーズは今後一気に高まりを見せる。「来年度にはコンサルティング対象が50社程度まで増えるだろう」と手応えを口にする。

 ACCはプラットフォームとして、汎用(はんよう)CAD『AutoCAD』やBIMソフト『Revit』などの主要ソフトのデータ基盤を担う。小西貴裕常務事業戦略本部長は「ACCを介して蓄積データをより効果的に活用するための仕掛け(支援ツール)が必要になる。円滑なデータ連携環境を整えるためにはプロセス管理が求められ、われわれの強みである技術力が存分に生かせる」と続ける。

AU会場では日本未発表のソリューションも展示


 オートデスクが日本市場でACCの本格展開をスタートしたのは2022年4月のことだ。当初2人体制でスタートした日本のACS(オートデスク・コンストラクション・ソリューション)チームは1年余りで7人にまで拡大した。日本では国土交通省のBIM/CIM原則化に加え、建築BIM推進会議の本格化に合わせ、中小企業の導入促進を後押しするBIM加速化事業もスタートしており、建設業のデジタル化が一気に進展する追い風が吹く。

 これまでは各生産プロセス内での生産性向上が主体だった。これからは各プロセスをつなぐ全体最適のデータ活用に踏み切る企業が目立ち始め、クラウドを活用したデータ管理が主流になろうとしている。同社は、ACCが建築・土木・エンジニアリング分野に提供するAEC関連の各種ソフトと連携した使われ方をすることから、AECチームとACCチームを連携させた一体的な体制を組み、クラウドサービスを軸に各ソフトを提案する流れにシフトする方針だ。先行してACCの販売を始めた海外では、既に大幅な生産改革を実現する企業が目立ち、その最前線では、クラウドに蓄積したデータの利活用効果が鮮明に表れている。

応用技術は日本企業としてAU初出展



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