【TOKYO-変貌し続ける都市①】東京駅周辺エリア 再開発十数件、総延べ300万平米が進行 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【TOKYO-変貌し続ける都市①】東京駅周辺エリア 再開発十数件、総延べ300万平米が進行

 JR東京駅周辺の常盤橋、八重洲、有楽町、日本橋エリアでは、十数件もの再開発事業が進行中だ。具体の計画が公表されているプロジェクト規模を集計すると、総延べ面積は300万㎡規模にも達する。日本一の高さとなる大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業「Torch Tower(トーチタワー)」が開業する2028年までには、その多くが完成し、日本の表玄関である東京駅の周辺は大きく変貌を遂げる。

日本一の高さとなる大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業「トーチタワー」

■常盤橋
 大手町を起点に有楽町、神田、八重洲、日本橋に向けて事業エリアを広げる三菱地所は30年までを「丸の内NEXTステージ」と位置付け、その期間中に6000-7000億円の規模を投じる。これはエリア全体でまちの価値を高めるためのリニューアル投資を含めた数字だが、その半分程度を「大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業」に充てる計画だ。

 施設は、延べ55万㎡を超えるトーチタワーを軸とする4棟構成となり、先行して21年6月に常盤橋タワー、22年3月に下水道局棟が完成済み。23年9月にはトーチタワーが工事に着手し、これに合わせるように変電所棟II期工事も動き出した。

 常盤橋は、同社が保有するオフィス機能を維持しながら建物を順に建て替える連鎖型再開発事業の集大成となる。起工式で中島篤社長は「人々の熱量を結集し、東京の未来を明るく照らすタワーとしたい」と力強く語った。トーチタワーは世界に誇る日本のランドマークだけでなく、同社が常盤橋エリアを基点に八重洲、日本橋エリアにも事業を拡大するランドマークとしても存在感を増すことになる。




■神田、有楽町
 三菱地所は、「まち」を人と企業が集まり交わることで、新たな価値を生み出す「舞台」と位置付けており、大手町から周辺エリアに向けて事業範囲を広げている。神田エリアでは地権者とともに計画する25年竣工予定の「(仮称)内神田一丁目計画」が進行中。日本橋川に人道橋を設けた交流広場も整備し、東京駅からのにぎわいを神田エリアにつなげる。

 有楽町エリアでは、有楽町ビルと新有楽町ビルが立地する「有楽町一丁目10・12」と、帝劇ビルと国際ビルのある「丸の内三丁目1」の2地区で建て替え事業を計画中。ともに東京圏国家戦略特別区域会議の都市再生プロジェクトにも提案され、都市計画決定手続きに向けた区域計画の認定を待っている状態だ。



八重洲二丁目南街区の超高層

■八重洲
 東京駅皇居側の大手町エリアでは三菱地所が強みを発揮するが、反対側の八重洲エリアでは三井不動産など他のデベロッパーが参画する再開発事業が相次ぎ動き出している。東京駅前の外堀通り沿いでは八重洲通りを挟み、八重洲一丁目と八重洲二丁目で計4地区の再開発事業が進行中だ。

 八重洲二丁目では、三井不動産が参画した八重洲二丁目北市街地再開発「東京ミッドタウン八重洲」が23年3月にグランドオープンした。菰田正信代表取締役会長(当時社長)が会見で「過去に類を見ないミクスドユース(複合利用)型の再開発になった。新しい価値を生み出す街にしたい」と強調したように、先行して完成した東京ミッドタウン八重洲が八重洲エリアの基点になろうしている。

 隣接する「八重洲二丁目中地区市街地再開発事業」では、住友不動産や阪急阪神不動産、ヒューリック、三井不動産など6者が参加組合員として参画する。街区は約2ha、既存建物は37棟にも達し、解体作業が進行中。事業規模は延べ約39万㎡を計画し、29年の竣工を目指す。

 その先に位置する「八重洲二丁目南地区」では、住友不動産が事業主体として延べ13万㎡超の高層ビルを計画中。23年10月に国家戦略都市計画建築物等整備事業の区域計画案として了承され、政府の国家戦略特別区域諮問会議での承認を経て、都市計画の決定・変更に伴う都市計画法の特例措置が活用される見通しだ。

 八重洲一丁目地区では、東京建物などが特定業務代行者を務める延べ22万5000㎡の「東京駅八重洲一丁目東B地区市街地再開発事業」が25年の竣工に向けて工事が進んでおり、延べ1万2250㎡の「東京駅前八重洲一丁目東A地区市街地再開発事業」も本格的に工事が動き出そうとしている。




日本橋エリア最大規模の日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業

■日本橋
 日本橋川沿いとなる「八重洲一丁目北地区市街地再開発事業」には、東京建物や東京ガス不動産などが参画しており、延べ18万㎡規模の南街区は今年9月にも着工の見通しだ。

 ここを出発点に日本橋川に沿って五つの再開発事業が計画されている。三井不動産と野村不動産が先導する「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」はこのエリア最大の総延べ38万㎡となり、21年12月に着工した。

 「日本橋一丁目1・2番地区第一種再開発事業」は施工区域の縦覧を終え、27年度から整備が進む見通しで、4街区総延べ8万㎡の規模が計画されている。隣接する八重洲一丁目北地区から日本橋へつながる地下通路やデッキも計画され、東京駅からのアクセス性を高める。

 5街区構成の「日本橋一丁目東地区第一種市街地再開発事業」は26年10月からの着工を準備しており、日本橋川の対岸では4街区構成の「日本橋室町一丁目地区市街地再開発事業」が24年度から着工する見通しだ。

 東京駅から八重洲、日本橋へのつながりは、首都高速道路の日本橋区間地下化事業を見据えながら周辺の再開発事業が進行している。三井不動産の菰田会長が「東京駅、八重洲、日本橋、京橋が一体的なエリアとなり、かつてない規模の新たな拠点が誕生しようとしている」と強調するように、東京駅周辺では将来的に各街区がつながり合う集合体としての巨大なまちが形成される。

 首都高日本橋区間の地下化は40年の事業完了を目指している。周辺のまちづくりは既に動き出した5地区以外にも、日本橋本石町1丁目地区で再開発準備組合、日本橋室町一丁目中地区では地元組織のまちづくり検討会が発足しており、40年までには東京駅から日本橋までが一体となったまちが姿を現す見通しだ。

 地元の中央区では「40年が一つの大きなターニングポイントとなる。都心部・臨海地域地下鉄構想も具体化し、それを見据えるように築地や晴海地区のまちづくりも進展してくる」(都市整備部地域整備課)と期待している。



①大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業②(仮称)内神田一丁目計画③有楽町一丁目10・12地区④丸の内三丁目1地区⑤八重洲二丁目北市街地再開発「東京ミッドタウン八重洲」⑥八重洲二丁目中地区市街地再開発事業⑦八重洲二丁目南地区⑧東京駅前八重洲一丁目東A地区市街地再開発事業、東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発事業⑨八重洲一丁目北地区市街地再開発事業⑩日本橋一丁目1・2番地区第一種再開発事業⑪日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業⑫日本橋一丁目東地区第一種市街地再開発事業⑬日本橋室町一丁目地区市街地再開発事業



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