【TOKYO-変貌し続ける都市③】内幸町・新橋駅周辺エリア 都心最大級、総延べ約110万㎡の再開発計画 | 建設通信新聞Digital

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【TOKYO-変貌し続ける都市③】内幸町・新橋駅周辺エリア 都心最大級、総延べ約110万㎡の再開発計画

 銀座、有楽町に近接する内幸町エリアは、企業の本社が多いオフィス街であり、ホテル御三家の一つである帝国ホテルも立地している。内幸町一丁目街区では、対象敷地約6.5haに、帝国ホテルの建て替えを含む都心最大級となる総延べ約110万㎡の再開発が計画されている。あわせて、西側に隣接する日本有数の都市公園である日比谷公園と一体となったまちづくりを目指している。エリア南側に位置する新橋駅周辺では、都市再開発法の前身である市街地改造法に基づき整備された新橋駅前ビルやニュー新橋ビルの再々開発など、駅東西の一体的なまちづくりに向けた準備が進行している。

内幸町一丁目街区完成イメージ

■内幸町
 内幸町一丁目街区では、NTTアーバンソリューションズ、公共建物、第一生命保険、中央日本土地建物、帝国ホテル、東京センチュリー、東京電力ホールディングス、日本電信電話、東日本電信電話、三井不動産の10社が都心最大級の再開発を進めている。

 敷地面積約2.4haの北地区、約2.2haの中地区、約1.9haの南地区で構成され、各地区と街区西側に位置する日比谷公園が連携した一体的なまちづくりを目指している。開発計画は2019年に国家戦略特別区域会議で東京都の都市再生プロジェクトに登録され、21年に都市計画決定を受けた。

 22年3月に10社が連名で公表した事業構想「TOKYO CROSS PARK構想」によると、「日比谷公園と街をつなぐ」「都心主要拠点から多様な人が集まり、交わる結節点」「事業者10社の共創」という“三つのCROSS”をキーワードに、「人が主役のまちづくり」など五つのテーマの実現を掲げている。

 同街区は、明治時代に帝国ホテルや鹿鳴館が建設され、以来日本を代表する迎賓交流拠点としての役割を担ってきた。また、街区内には東京電力本店や日本電信電話公社(現NTTグループ)本社ビルなども建設され、文化・経済ともに重要な位置を占めてきた。

 再開発では、北地区には延べ約15万㎡の帝国ホテル新本館と、オフィスや商業施設、サービスアパートメント・賃貸住宅などを備えた延べ約27万㎡のノースタワーを整備する。ノースタワーの完成時期は30年度を予定しており、現在のタワー館は今年6月末までに全ての営業を終える。現本館は30年度に営業を終了する予定で、36年度の新本館竣工を目指す。

 中地区は、NTT日比谷ビルなどの跡地に、 延べ36万1000㎡のセントラルタワーを建設する。オフィス、ホテル、ホール、 宴会場、産業支援施設などを計画しており、7月の着工、29年2月の完成を目指している。

 南街区は、オフィスやホテル、ウェルネス促進施設などで構成する延べ約30万㎡のサウスタワーを整備する。 28年度の完成を計画している。現在は同地区内にあるみずほ銀行内幸町本部ビルの解体工事が進行中だ。

 加えて、街区と日比谷公園をつなぐ2本の道路上空公園や31mの高さにある基壇部上広場、都心最大級となる2haの大規模広場を整備し、公園とまちが一体となった大規模空間を創出することでエリアとしての魅力を高める。

 最終的な全体完成の街びらきは37年度を目標としている。


新橋駅東口にある新橋駅前ビル

■新橋
 新橋駅(港区)は、鉄道7路線が乗り入れ1日当たり90万人以上の人々が行き交うターミナル駅だ。羽田空港と成田国際空港にも直結した都心と国内外の接点でもあり、東口側にはBRT(バス高速輸送システム)や東京臨海新交通ゆりかもめなどの交通機能が集積し臨海部と都心部をつなぐ玄関口にもなっている。

 港区は、環状2号線の整備を契機に、同駅を含む周辺のまちづくりを一体的・計画的に進めるために、19年に策定した「新橋・虎ノ門地区まちづくりガイドライン」で、エリアの将来像を示している。この中で新橋駅周辺エリアは、 新橋らしい路地空間のにぎわいや街並みを継承した建築物の更新、 歩行者中心の空間づくり、 イノベーション推進を支える場づくり、老朽建築物の耐震化対策の促進、隣接する各エリアの地域特性と新橋らしさが共存した駅前広場整備などを重点方策としている。

 その核となるのが、駅の東口側と西口側で検討されている二つの大規模な再開発事業だ。東口には1966年に完成した新橋駅前ビル(2棟総延べ約4万㎡)、西口には71年完成のニュー新橋ビル(延べ約5万8000㎡)がある。ともに竣工から50年以上が経過していることなどから、それぞれ二度目といえる再開発を検討している。

 東口では、17年3月に設立した新橋駅東口地区再開発協議会が「国道15号(第一京浜)」「外堀通り」「JR線路」に囲まれた約2.5haの区域の中で再整備を検討している。協議会は19年3月に業務支援協力協定を締結し、20年10月には三井不動産、23年7月にはダイビル、トヨタ不動産の2社と事業協力に関する協定書を交わしている。

 現在は準備組合への移行を目指して地権者の合意形成を進めており、1月5日付で協議会ホームページに掲載した加藤功時会長の24年年頭あいさつで「年内半ば」を移行時期の目標として掲げている。

 西口では、新橋駅西口地区市街地再開発準備組合が、ニュー新橋ビルを含む2.8haを対象とした再開発を検討している。区域内を北側のSL広場やニュー新橋ビルを含む「SL街区」と、南側の区立生涯学習センター(ばるーん)や桜田公園などがある「桜田街区」の2街区に分けて検討を進めており、現在は都市計画決定に向けて東京都や港区と協議を重ねている。準備組合には、事業協力者として野村不動産とNTT都市開発が参画している。

新橋駅西口にあるニュー新橋ビル

 新橋・虎ノ門地区まちづくりガイドラインでは、まちづくりを進める際には、協議会など地域主体の組織が詳細地域を対象としたガイドプランを、上位・関連計画を踏まえて策定することが必要とされている。新橋駅周辺でも、東西の両事業者が都や区を交えてガイドプラン策定に向けた協議を進めている。

 さらに東京都は、両地区の再開発と連携して駅周辺の都市基盤を充実・強化するために、「新橋駅周辺基盤整備方針」の策定作業を進めている。21年に検討会を設置し、地下の歩行者ネットワークや東口駅前広場など再開発によって駅周辺に新たに生まれる空間の在り方などを議論している。

①内幸町一丁目街区②新橋駅東口地区再開発事業検討区域③新橋駅西口地区再開発事業検討区域



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