【i-Con2024⑨】JR東日本・JR東日本東京建設プロジェクトマネジメントオフィス 3Dプリンター | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【i-Con2024⑨】JR東日本・JR東日本東京建設プロジェクトマネジメントオフィス 3Dプリンター

土木構造物、駅施設で適用へ技術開発/オンサイトでのスムーズな施工を実現

オンサイトで4体の災害対応列車型ベンチを連続して製作

 JR東日本東京建設プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)は、鉄道分野の建築、土木工事に3Dプリンターを活用するための技術開発を加速している。将来的に小規模駅舎や付属施設、仮設駅施設、土木構造物の製作や施工に導入し、BIMや点群などの3次元データと連動して大幅な工期短縮や省人化を目指す。

 3Dプリンターの現状の課題として、製作した構造体を建築基準法に適合させるには、国土交通大臣の認定が必要となることが挙げられる。そうした手続きを避けるため、まずは型枠などの仮設材や工作物に活用し、形状を自由に構築できる3Dプリンターの特徴を生かす方針だ。

 具体的には、社内の「現場第一線における技術開発制度」を活用し、「ボトムアップ型の提案」(松山昌広駅まちづくりユニット建築戦略・建築技術担当)による技術開発を會澤高圧コンクリートと進めている。初弾となる内房線太海駅に設置したベンチ製作(工場内での製作)に続き、JR東日本水戸建築設備技術センターと連携して11月末にオンサイトで3Dプリンターを活用する初の実証イベントを常磐線佐和駅の工事ヤードで行った。會澤高圧コンクートが保有するコンクリート3Dプリンターを活用し、4体の災害対応列車型ベンチ(防災トイレ)を連続して製作することに成功した。

特急ひたちを模したベンチ

 岩崎頼太駅まちづくりユニット建築戦略(建築技術)チーフは、「3Dプリンターは気温や湿度などが影響するため、事前の調整が重要になる。今回は現場への資機材運搬や設置も行った上でスムーズにベンチを製作できた。小さな一歩だが、現場での活用に向けた意義は大きい」と評価する。特急と在来線を模したベンチは常磐線の駅に設置する。「新技術で作ったベンチを復興地域に設置し、子どもたちを盛り上げる」(木下直哉プロジェクト推進建築Iユニット総武・東北開発・常磐担当)方針だ。

 次のステップとして、2024年度早々に土木現場で仮設の土留め壁に活用する考えだ。駅まちづくりユニット(建築企画)の佐々木暁生マネージャーは「3Dプリンターは3次元測量で取得した複雑な形状も再現できるため、現地一品生産の工事現場にも適している。技術的な検証を進め、プロジェクトにおいて実践的に活用していきたい」と意気込む。

左から佐々木氏、木下氏、松山氏、岩崎氏



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