「令和6年能登半島地震」で被害を受けた道路の啓開作業が進むにつれて、半島各地で被災状況調査が本格化している。建設コンサルタンツ協会北陸支部は行政機関との災害協定に基づいて、社会インフラの緊急点検や測量、河道閉塞の決壊シミュレーションなどを展開。石川県内の会員だけでは対応できないことから、富山、新潟両県の会員が“日帰り”を繰り返して作業に当たっている。
同支部では、発災直後から新潟県や新潟市が管理する橋梁やトンネル、洞門など約2000カ所の緊急点検を実施したが、甚大な被害に見舞われた半島部分は土砂崩れや家屋の倒壊、道路の破損などで通行障害が生じたため、その解消を待って調査活動を進めることとしていた。
建設業による懸命な道路啓開の結果、半島先端まで入れるようになったことから、金沢河川国道事務所などの要請を受けて、被災状況調査を開始した。
具体的には、各市町の道路や河川、港湾施設などの被害の把握、レーザーを使った測量を実施している。地すべりによる天然ダム(河道閉塞)が複数の箇所で起こっており、それが決壊した場合のシミュレーションにも携わっている。
巨大地震への対応となるだけに、石川県の会員のほか、富山、新潟各県の会員も現地入りしている。ただ、石川県内の宿泊施設はどこも埋まっており、新潟県会員の大半が富山県を拠点(宿)とする。輪島市などに向かう道路は渋滞しているため、早朝に出発しても到着するのは昼ごろ。作業を終えて拠点に戻るのは午後9-10時で、夕食後に調査結果をまとめる。そうした日々を続けている。
国直轄の権限代行が加速することで、さらに業務は増えるとみられるが、支部担当者は「未曾有の有事だからこそ、協会一丸となって対応していく。社会インフラの機能維持・向上を通じて、国民の生命・財産を守るという建設産業の使命を果たしたい」と話している。
【2024年1月24日付紙面掲載】
能登半島地震リポート
建コン協一丸、調査本格化/富山、新潟の会員も日帰りで作業継続
[ 2024-03-06 ]