災害対応に感謝の声/建設産業と協働し支援継続 | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

能登半島地震リポート

災害対応に感謝の声/建設産業と協働し支援継続

 心から感謝致しております--。「令和6年能登半島地震」の被災者がTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)に送った手紙の一文だ。被災地の一日も早い復旧に向けた最前線の活動が日の目を見ることはそれほど多くないが、「地域住民の方がしっかりと見ていてくれた。建設産業を含め、作業に携わる全ての人にとって何よりの励みになる」(北陸地方整備局災害対策本部総合司令本部の内藤和久総括責任者)と思えた瞬間だった。
 ポストカードサイズの便箋は、石川県能登町で活動する中国整備局TEC-FORCEの調査車両のフロントガラスにひっそりと置かれていた。表面に書かれた達筆な「感謝」の文字を目にした隊員は、それが何を意味するか即座に理解したという。
 手に取って裏面を確認すると、「石川県のためにありがとうございます。寒い日が続きますが、くれぐれも体調を崩さないよう、ご協力に心から感謝致しております」と記してあり、お菓子や使い捨てカイロが添えてあった。
 内藤総括が「北陸整備局管内での全国的な災害応援対応は、当局が発足してから初めて」と話すように、今回の地震では規模(震度)の大きさを考慮し、発災とともに北海道開発局や全国の地方整備局、沖縄総合事務局の職員がTEC-FORCEとして被災地などに駆け付けた。
 被害状況が判然としない中で、長時間を掛けて厳冬の現地へと向かい、被災状況調査に尽力した。給水車や照明車を使った応急給水、停電施設への電力供給も実施、避難生活を支援した。北陸整備局はTEC-FORCEのほか、リエゾン(現地情報連絡員)を被災自治体に派遣し、関係機関との連絡調整を担った。
 「発災時から昼夜態勢で(国を挙げて)職務を遂行できたのは、(地域支援という)強い使命感」にほかならず、それが被災者である地域住民に評価されたことは「一番のモチベーション」になっている。
 また、九州整備局TEC-FORCEは、金沢市内のホテルを拠点としていたが、長期滞在を通じて従業員との交流が始まり、支援活動に対する感謝の声が直接届くようになった。今では双方の関係性の深さを象徴するような集合写真が館内に飾られている。
 木村一幸総括代理は、被災自治体のある首長がTEC-FORCE交代の際、感謝の余りに涙したとのエピソードに触れた上で、「われわれのパートナーである建設産業も過酷な状況で作業している。当然ながら、こうした被災地の(感謝の)思いは業界にも向けられている」とし、官民連携による復旧・復興推進への意を強くする。
【2024年3月18日付紙面掲載】

TECーFORCEなどの活動状況を説明する内藤総括(左)と木村総括代理


感謝の手紙はTECーFORCE調査車両に置かれてあった


実際の手紙