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B・C・I 未来図

【BIM未来図】三菱地所設計③ クラウド基盤に密接な情報共有/統合モデルにもチャレンジ

最終更新 | 2024/09/02 11:16

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 三菱地所設計では、全職能の設計者が足並みをそろえてオートデスクのBIMソフト『Revit』を使う案件が増えてきた。2023年11月につくば市で竣工した新菱冷熱工業イノベーションハブ本館もその一つだ。規模は鉄骨造一部RC造3階建て延べ4807㎡。設計を同社、施工は建築工事を竹中工務店、機械設備工事を新菱冷熱工業・城口研究所JV、電気設備工事を大栄電気が担当した。

 同プロジェクトは、一般的な研究施設のように建物の内外を切り分けることなく、屋外から半屋外、屋内へと多様な空間、温湿度、光環境を組み合わせた「環境グラデーション」としてつなぎ、さまざまなワークプレイスへの展開を設計コンセプトに設定した。

環境グラデーションのコンセプト図


 利用者が働く場所を選ぶことができるABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング)に、それぞれの場所の特性に応じて空調制御や照明計画を行い、空気や照明、空間スケールなどのバリエーション豊富な環境機能を付加した「ABW+e(エンバイロメント)」を掲げ、新しい空間創出の下、研究への考察や気付きのきっかけを感じられる施設を実現した。

 大屋根による日射遮蔽(しゃへい)に加え、この建物向けに開発されたさまざまな省エネルギー技術、太陽光パネルの導入によって、設計段階における1次エネルギー消費量を基準値より114%削減したことで、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の最高評価である『ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)』を取得するとともに、バリエーション豊かな空間や周辺の緑を取り込んだ環境づくりによって、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)ではウェルネスオフィス最高評価の「Sランク」も取得した。

 建築主である新菱冷熱工業は、国土交通省の令和2-4年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業に応募し、採択された。社内外のプロジェクト関係者は、オートデスクの建設クラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud(ACC)』を基盤に情報を共有し、設計から施工までつながるBIM活用に加え、維持管理にもBIMデータを取り込んだ。

 三菱地所設計の設計チームは意匠、構造、設備の10人で構成した。このうちRevit経験者はわずか2人だった。残り8人は2日間のRevit研修を受けた上でプロジェクトに挑んだ。北海道支店の小林はるかチーフアーキテクトもその一人だ。「設計期間は従来よりも少し時間がかかったが、BIM推進室の協力の下、BIMを全面的に取り入れて進めることができた。積算にもRevitデータを活用したほか、当社として意匠、構造、設備の統合モデルにチャレンジした初のプロジェクトでもあった」と振り返る。

 プラン検討では、各種シミュレーションツールを使いながら、ZEB達成への影響度を確認しながら進めることで手戻りを減らした。プロジェクト初期段階に詳細なBIM実行計画書(BEP)を策定し、プロジェクト関係者とBIMの実施内容を共有できたことも成果の一つだ。
 建築主であり、機械設備工事も担当した新菱冷熱工業は、当時から社を挙げてBIM導入を推し進めてきた。山田渉BIM推進室長は「建築主と同じ目線でBIMに取り組めたことも、大きな後押しになった」と強調する。

 社を挙げてBIM導入にかじを切った三菱地所設計では、BIMデータを有効に利活用するための便利ツールの開発も活発化しており、それが設計者のBIM活用を後押しする原動力にもなろうとしている。

新菱冷熱工業イノベーションハブ本館(撮影・西川公朗)



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