【京都駅前再生検討に着手】20年後見据え年度内に提言書/京都市 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【京都駅前再生検討に着手】20年後見据え年度内に提言書/京都市

現在の京都駅前


 京都市は、JR京都駅前再整備の検討に着手する。『京都駅前の再生に係る有識者会議(座長・大庭哲治京大大学院教授)』を立ち上げ、17日に京都市内で初会合を開いた。概ね10-20年後の将来像と実現に向けた短期・中長期に取り組むべき方策を検討する予定で、おおよそ2カ月に1度の頻度で検討会を開き、2025年度末に提言書をまとめる。

 商業・業務のさらなる集積や沿道建物、駅前広場、道路などを活用した歩行者中心のにぎわい創出により、京都の特性を生かした京都の玄関口である駅前にふさわしい整備を目指す。

 協議の対象となるのは、京都駅から南北に約600m(七条通-針小路通)、東西に約900m(堀川通-高倉通)のエリア。現状は駅を中心にオフィスや商業施設、ホテルが集積し、その周囲は住宅エリアとなっている。

 会議では同エリアについて、同市最大の交通結節点であり、市を代表する商業・業務の集積地であるとともに、市立芸術大学の移転をはじめ、近年周辺の開発が活発であるなど、高いポテンシャルを有すると評価。その一方で、駅北側を中心に築40年以上の建築物が多数存在し、テナントオフィスのストックが不足しているほか、歩道の幅が狭く、八条通や烏丸通以外の歩行者交通量は少ないことなどを課題に挙げた。

 委員を務める若林靖永佛教大教授は「京都駅は刺激的なデザインだが、駅の外部は魅力が欠ける」と指摘した。嘉名光市大阪公立大大学院教授は「中央郵便局の再整備など各種開発が進むが、一貫したビジョンが必要」とエリアマネジメントの重要性を説いた。

 岩瀬諒子京大大学院教授は「建物の中に都市をつくった京都駅の特性を周囲に広げるべき」と述べ、加須屋晶子京都市立芸術大教授は「新しいものと歴史的なものが共存する京都の良さを保つ必要がある」と話した。

 松中亮治京大大学院准教授は「交通結節点としての機能を向上させ、ハイグレードな環境を提供するのが京都駅前に課せられた使命」とし、大庭座長は「外観のビジュアルも大切だが、人が見てどう感じるかという視点が重要。特定の層だけでなく誰もが魅力的と感じる駅前エリアであるべき」と述べた。

 

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