◇職域代表の国会議員の存在意義とは
A 衆議院の少数与党化を背景に、事実上の政権選択選挙ともいわれている今回の参院選。いよいよ来週20日の投開票に向けて、全国各地で熱い舌戦が連日繰り広げられている。
B 昨年の衆院選での与党過半数割れが象徴するように、参院選に当たっても与党は、逆風下での厳しい選挙戦が強いられると常々予想されていた。現に、大手新聞社やテレビ局などのマスコミ各社の世論調査を見ても、自民党の支持率は30%前後にとどまっている。
C 参院の通常選挙は3年に1度やってくるが、わが建設業界にとって、今回の参院選は近年に類をみないほどの重要な選挙だ。全国比例では、建設産業界の職域代表として3期18年にわたり、新3K(給与・休暇・希望)の実現に尽力してきた佐藤信秋参院議員が引退し、その後継として元国土交通官僚の見坂茂範氏が出馬した。現職に比べて知名度の低い新人候補にとっては、一層厳しい戦いを強いられる。
D 昨年末、不慮の事故による足立敏之元参院議員の逝去で、職域代表の二枚看板の一つが失われていることも、今回の参院選が特に重要とされるゆえんだ。万に一つもないと思いたいが、職域代表が国政の場に不在なんてことになれば、今後大変な状況に陥りかねない。労務単価をはじめ、この十数年継続してきた上向き基調に影響を与える可能性もあろう。
B 本人にとってはかなりの重責だろうが、少なくとも今後3年間は、これまでの2人分の活躍を国政で期待することになる。それも新人だ。その活躍を後押しする結果を出せるか、まさに建設業界全体の結束と行動が求められている。
◇奨学金の肩代わりなど支援展開
A 話は変わるけど、社員の奨学金を肩代わりする企業が増えているようだ。
B 企業などの奨学金返還支援(代理返還)制度を利用しているみたいだね。日本学生支援機構によると、建設業で奨学金を代理返済している会社は400社ある。都市部よりも地方の会社が多いみたいだよ。
C 最近だと、大成温調が新卒と学校卒業後3年以内の第2新卒社員を対象に、社員に代わって奨学金を全額返済する制度を2026年4月に導入すると発表した。
D 大学学部生の奨学金受給率は、18年度の47.5%から、22年度には55.0%へと上昇している。19年に労働者福祉中央協議会が実施した調査によると、奨学金の借入総額の平均は約340万円で、毎月の返済額は約1万7000円、返済期間は約15年と、若手社員にとっては重い負担になっているという話も聞くね。
B 労働力不足の中で採用に苦戦する企業も多いから、独自性を打ち出して学生にアピールしたいんだね。学生にとっては、企業選択の判断材料の一つになりそうだ。
A 初任給も値上げムードだ。建設業でも大卒初任給が30万円を超える企業が出てきているね。
C 25年度に入ってからも、淺沼組や住友大阪セメント、コベルコ建機、オカムラなどが続々と初任給引き上げを発表している。
D でも、若手社員だけに大盤振る舞いだと、既存社員からは不満の声も出てきそうだよ。
B ベースアップも併せて実施したり、福利厚生の向上を進めている企業も増えてきた。
A 恩恵が一部の層の社員に偏ることなくバランスが取れると、社員全体がやりがいを持って働ける会社になりそうだ。