【記者座談会】宇都宮LRT延伸で再開発活性化/建設各社の2026年第2四半期決算 | 建設通信新聞Digital

11月22日 土曜日

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【記者座談会】宇都宮LRT延伸で再開発活性化/建設各社の2026年第2四半期決算

◇成功の鍵は「利用者数」と「価値創出」

宇都宮駅西側延伸の都市計画手続きが始まった宇都宮市のLRTライトライン


A 宇都宮市と栃木県芳賀町を結ぶLRT(次世代型路面電車)である通称「ライトライン」のJR宇都宮駅西側延伸の都市計画手続きが17日に始まったそうだが、その概要は。

B 特殊街路(軌道)である10・7・102号宇都宮西ライトレール線を新しく都市計画道路に位置付ける考えだ。軌道(整備)事業は2027年11月に着手し、36年3月の開業を目指している。この動きを背景に、延伸区間内の再開発事業も徐々に盛り上がりを見せている。

C 北関東の中でも今、宇都宮市が“熱い都市”の一つと見る人も多い。駅前では延べ約1万3420㎡の複合施設を建設する西口南地区第一種市街地再開発事業や、総延べ約3万6100㎡の商業・住宅棟などを建設する西口大通り南地区第一種市街地再開発事業が進んでいる。中心市街地の旧丸井宇都宮店もホテル建て替えに向け解体工事が進行中だ。MEGAドンキホーテ宇都宮店が入居するビルなどが含まれるバンバ地区の再開発も、10年以上の時を経て、再燃する可能性があるかもしれないね。

B 旧丸井宇都宮店の建て替えでは、関係者が「LRT延伸との相乗効果も含めた“まちの活性化”につなげたい」と熱く話していた。

A そうなると、西側延伸でどれほどの利用者数を確保できるかが、各再開発を含めた一体のまちづくり効果を高める鍵を握りそうだ。

C 数だけではない。新施設を建設するにしても少子高齢化が進む中で、どのような人が利用し、どう利益をもたらすのか、そのための価値創出を考える必要がある。

B 事業は道半ば、課題もある。だからこそLRT整備事業や市街地再開発事業の実施には人を呼び込む魅力を生み出す工夫と仕掛けが欠かせない。

◇好業績を業界全体の取引適正化に

A 熱いと言えば、建設業の業績もそうだね。14日に出そろった大手・準大手ゼネコン23社(単体27社)の26年3月期第2四半期決算の状況は。

D 連結売上高は24年10月1日設立の飛島ホールディングスを除く22社中18社が前年同期を上回り、半数の11社が過去最高を更新した。本業の利益を示す営業利益も全社が増益となり、うち11社が過去最高を達成している。今回の業績などを受けて、12社が通期業績を上方修正した。

C ゼネコン以外の建設業の業績も良かったよね。

D 道路舗装11社は全社が営業利益、経常利益とも増加した。建設分野での利益率の改善や手持ち工事の順調な進捗(しんちょく)、製造販売分野の単価値上げ効果などで利益を改善できた。売上高は6社が増収だった。

E 設備工事業も好決算が続く。電力系・電気設備工事大手5社は、単体で増収となった3社が過去最高の売上高を記録した。営業利益を大幅に伸ばし、全5社の増加率が2桁を示した。空調衛生設備工事を主力とする上場大手6社は、国内外で受注した豊富な手持ち工事が順調に進捗し5社が増収、全社が営業増益となり、かつ第2四半期として過去最高を記録した。

D 各社の企業努力があってこそ、今回の結果に至ったのはもちろん、それに加えて価格転嫁などが進んでいるのもプラスの一因のようだ。発注者などの理解が進み、適正取引が増えてきたと聞く。

E その動きは発注者だけでなく、下請けに対しても取らなければならない対応だ。サプライチェーン全体で支払いなどの取引適正化につなげていくことが、物価上昇に負けない賃上げを実現し、将来にわたって社会的使命を果たせる持続可能な建設業へと導く。
 

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