富士テクニカルリサーチは、土木、建築、プラントの現場向け大規模点群データ処理システム「Galaxy-Eye」を構成する「Modeler」「Connect」「Episode」の三つのソフトを展開している。現場の3次元モデルと、図面やリストなど各種データの相互連携、生成AIを活用した文書管理を一元化することで大幅な業務効率化を実現する。鉄道向けオプション「Railway-Eye」も進化を続けるGalaxy-Eyeの最前線を紹介する。
Galaxy-Eyeは現場にいかずとも点群データを起点にさまざまな検討を机上で展開できるよう機能の拡張を加速している。原点である「Modeler」は、3次元測量で取得した点群データを瞬時にCADモデル化できるのが特徴だ。
データの大きい点群をCADに変換することで他のソフトと連携しながら計測や搬出入用の干渉チェック、レイアウト検討などをスムーズに実施できる。 足場のレイアウトや見積もり機能もある。同社技術本部事業開発部の小石章太郎部長は「3次元空間で機器を動かすと思いもしない障害物が見つかる。 作業指示や工事費の根拠も分かりやすく説明できる」と語る。
デジタルデータ相互連携システム「Connect」は、図面、写真、仕様書、管理リストなど施工者や施設管理者がもともと保有する各種データを連携し、「見える化」「制御」「自動化」を促進する新たなワークフローを構築する。探している機器を選択すれば、図面やモデル上で色分けして表示するなど従来の「探す・調べる」手間を削減し、業務プロセスを改善する。
例えば、あるメーカーの機器に不具合が見つかり、自社工場や建物に同じ製品が使われているかを調べる必要があるとき、システムが全図面を瞬時に検索し、平面図、スプール図、3次元モデルなどで該当する機器を色分けして表示するほか一覧表示も可能だ。「数日がかりの作業がわずか数分で完了する」という。
社員教育や技術継承もコンセプトにしている。現場では熟練の職人が高齢化し、技術継承が課題だ。「プラントや現場の書類はキングファイルに保管され、情報を探しにくく手戻りが発生しやすい。書類をデジタル化すれば部材をクリックするだけでどこにあるのか誰でもすぐ分かる。業務の3割は資料を探す手間のため、効果は大きい」と説明する。
設備のエラー情報やセンサーなどの動的データもひも付けて管理できる。設備エラーが発生すればエラーコードに基づいて対応手順書や対応履歴を入手できる。「熟知した人がいないと即対応できない場面も最小限の時間で復旧できる」のが強みだ。
「Episode」は、ローカル対応文書管理AIシステムとなる。『オンプレミス×RAG(検索拡張生成)×特定業務特化型』をコンセプトに開発したもので、NLP(自然言語処理)と生成AIを活用した文書検索や文書生成を得意とする。「安全」「賢く」「確実に」をコンセプトに建設現場や維持管理で利用する膨大な文書の検索、要約、作成に強みを発揮する。
同社はChatGPTが登場する前からNLPの研究開発を続けてきた。データ流出の防止にオンプレミスでの生成AI活用のニーズが高まり、24年にサービス開始。オンプレミスでLLM(大規模言語モデル)を活用する技術も上がり、特定業務に特化して生成AIを活用するシステムを構築し、高精度の検索を可能にした。
例えばCADの配管のゆがみをまっすぐにする方法を検索する場合、専門的な質問のため正確なプロンプトが必要になるが、あいまいな検索でも業務に必要な回答を得られるのが特徴だ。営業本部副本部長本社営業部の宗方貴則部長は「建設やプラントの専門用語や業界用語に対応し、顧客ニーズに合わせてカスタマイズすることにより生成AIの活用領域を拡大したい」と強調する。
生成AI(VLM)を活用した動画解析システムも推進する。一人称視点や前後左右にカメラを設置してベテラン技能者を撮影すると「ひざをつき、複数のケーブルのついた機器の操作を始める」というように1秒ごとに次々と動作を文字化していく。「マニュアルの作成や技術継承に効果を発揮する」と期待を込める。
鉄道設備用にJR東日本と共同開発したRailway-Eyeも3次元モデリング、測定、シミュレーションに磨きをかける。新機能の「障害物検知装置配置検討機能」は、踏切における3D障害物検知装置の配置シミュレーションを実施する。最大3台の探知装置を配置し、「死角」箇所の検出が可能だ。「信号設備建築限界距離測定機能」は3次元モデル化したレール上に建築限界モデルを設定し、各設備との最短離隔測定や干渉物を検出する。
宗方部長は「2次元の図面でなく3次元データでの検討や、現場&書類等の維持・管理のために今後もGalaxy-Eyeのシリーズを展開する。現場で取得したデータをうまく活用し、業務効率および人手不足などの解決に貢献したい」と展望する。

