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【佐藤直良のぐるり現場探訪】工事成功のカギは“段取り八分”と“時間・空間の制約” 渋谷“大改造”の最前線へ〈下〉

最終更新 | 2018/03/26 15:57

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夜間に行われた歩道橋架替工事の模様

 前回に引き続き、渋谷駅周辺再開発の現場から、今回は土木工事を担う東急建設の取り組みを紹介する。同社は「現場」を大事にする社風を持っている。その表れとして、筆者が近年業界の方々にお勧めしてきた「会社の顔である受付に、いま動いている現場の数を掲げる」をいち早く実践している。今回の訪問では、飯塚恒生社長を始めとする幹部職員の方々も姿を見せてくれた。工事の説明は、東急建設・JFEエンジニアリングJV渋谷駅東口歩道橋作業所の山田雅彦所長、東急建設・矢作建設工業JV国道246号渋谷駅地下道工事作業所の池田澄人所長、銀座線渋谷駅移設工事については東急建設首都圏土木支店鉄道土木部第三工事部の浦部克人統括所長らから説明を聞いた。

■工事成功のカギを握る2つのキーワード
 東急建設は、渋谷駅周辺再開発に係る多くの工事を担当しているが、それら工事に共通しているキーワードが2つある。1つは「段取り八分」。建設業界で昔から大切にされてきた職人たちの言葉である。最近の建設の世界の命題である生産性向上を進める最も重要な要素の1つである。若者のまち渋谷の再開発にあたり、段取り八分の精神を掲げて工事が行われているのは思いがけず新鮮であった。
 もう1つは「時間的・空間的制約」。渋谷のまちは1885年の渋谷駅開業を契機に発展してきた。国内外から多くの人々が訪れる現在の渋谷は、交通インフラのほか、オフィスビルを中心とした多くの建築物も集積している。
 また、まちを行き交う人、自動車、電車は途切れる間もなく、24時間活動するまちと言っても過言ではない。これらによる制約とそれを克服するための段取りが、まさに工事の成功のカギを握っている。

■渋谷の夜に東口歩道橋が姿を変える
 渋谷駅東口交差点の歩道橋は、ピーク時には1時間当たり5000人以上が利用するという。幅員が狭く、頭上の首都高速3号渋谷線が影を落とすなど、華やかな渋谷のイメージとは対照的である。ファッションを始め、時代の先をゆく渋谷でありながら、歩行者の動線や移動の利便性は最先端からは程遠く、昭和の車優先の思想が色濃く残る施設に見えた。そんな歩道橋も架替工事によって姿を変え、地下からの出口や隣接街区の建築物と接続するなど、利便性は大きく向上する。

夜間に行われた歩道橋架替工事の模様

 架替工事が行われている歩道橋は、国道246号と明治通りが交差し、1日当たり7万台という大きな交通量を抱える交差点に架かる。これらの道路は、日常利用だけでなく、観光・物流の面でも大きな社会・経済的効用を有しており、人や車の流れを長時間止めることは大きな影響を与えかねない。言わば、これら路線のストック効果の裏返しともいえる。工事中は2つの道路が一時通行止めとなるものの、架け替え作業は交通量の少ない夜間を中心に行われ、1回当たりの通行止め時間は5-10分(信号2サイクル程度)と最小限に止める。仕事で疲れた夜や遅くまで酒を飲みタクシーに乗って帰宅する際、長時間の通行止めに伴う渋滞や大きく迂回(うかい)せざるを得ない場面に遭遇するのは遠慮したいものだが、5-10分の待ち時間であれば、スマートフォンをいじりながら、それほどストレスを感じることなく待つことができるのではないだろうか。
 撤去、架設工事では大型クレーンが活躍するが、既設歩道橋や上部の首都高により クレーンでの作業が困難な場合は、多軸式台車によって作業が行われる。これら大型重機を使ってパズルを組み合わせるように効率よく進む工程は、まさに職人技。近代的な渋谷の夜に技術者の技が大きく光を放っていた。

■渋谷再開発プロジェクトが駅西地下道でつながる
 地下歩道や歩道橋基礎工事など、渋谷駅西口でも着々と工事が進められている。渋谷駅西口の地下道工事は、隣接する渋谷駅街区や渋谷駅桜丘口地区などの再開発プロジェクトを結ぶ重要な役割を担う。
 地下空間を中心としたこの工事では、関連事業者や埋設企業との調整に時間を要し、工程どおりに進捗していないのが現状とのこと。これまで発展してきた渋谷のまちは、地下空間も複雑な利用がなされており、調整を行う施工者のご苦労が感じられる。さらに、「一般通行者の動線を確保しながら安全に留意して工事を進める」と繰り返し口にする担当者の言葉からも、一般の方々への配慮と人の流れを止めない工事を追求する姿勢が感じられた。

■レール敷設の調整は人力技術者の手に安心委ねる
 銀座線渋谷駅の乗降人員は1日当たり約22万人。東京メトロの駅で7番目に多いという。1938年に東京高速鉄道株式会社の渋谷駅として開業したが、老朽化してきたこと、改札やJR乗り換え口が狭いこと、さらに東京メトロで唯一トイレのない駅である。
 改良工事により、現在のホームを明治通り側に約130m移設し、相対式から島式ホームに改良する。線路切替工事は計5回実施予定。視察当日は、2016年11月5、6日にかけて行われた1回目の線路切替工事が紹介された。
 工事には約300人が交代で従事し、延べ2日間で約1200人が参加したそうだ。土木工事は機械化が進み、現在はICTやIoT(モノのインターネット)などの高度な技術が導入されてきているが、レール敷設後の調整は人力で行われていた。人の命を預かる鉄道工事。やはり要は技術者の“手”に委ねられており、土木に携わる一人として安心を覚えた。
 通勤では渋谷駅を利用しない筆者であるが、移設工事の前後で車窓から見える景色の違いを体感してみたいものである。

切り替え前


A線切り替え後


切り替え完了

■東急UiMで楽しく新しい渋谷をかたちに
 説明者の土木本部土木部ICT推進グループの小島文寛グループリーダーは、4年ほど前から社内でCIMを担当する。今回の説明者の中で最も若い技術者でありながらも、CIMに取り組む意欲と自信に満ちた表情が印象的であった。
 小島氏は、CIMをマネジメントそのものと認識し、これを用いてフロントローディングを実践している。そして、この若い技術者自ら自社のブランドメッセージ「Town Value-up Management(建物1つひとつではなく、お客様・生活者の視点でまち全体を考えるということ)」を口にする。厳しい労働環境の下、工期に追われるこの建設業界では、時にエンドユーザーである市民の存在を忘れがちである。小島氏から発せられたブランドメッセージは、東急建設が担当する工事1つひとつに確実に届いていると感じられた。
 東急建設では、BIMとCIMを組み合わせたシステムをUiM(Urban information Modeling/Management)と定義する。まちづくりを手掛ける同社ならではの発想である。渋谷UiMは、再開発が行われるまちの統合情報プラットフォームとして、対象地区とその周辺を含む東西2㎞、南北1.7㎞で構築されたものだ。UiM構築にあたっての苦労話を小島氏はこう語る。建築と土木の文化の違い。まちの中では共存する建築と土木。しかし、業界においては両者が設計に使用するソフトなど、基礎的な部分においてもその隔たりは今も大きい。そのため、モデル上の座標および原点の定義や管理マニュアルなどを作成し、建築と土木で共有したとのこと。UiMは東急建設関係者の努力の結晶であり、自社が保有する過去のGISデータに基づき3次元地盤モデルを構築した試みも興味深いものであった。

にぎわいあふれる渋谷駅周辺で説明を受ける筆者(右から2人目)

 先に述べた銀座線渋谷駅改良工事における線路移設工事にあたっては、社内の施工検討会などでCIMが大いに活用されている。多くの作業員が従事する工事では、共通理解を得ることは容易ではない。CIMによるシミュレーションはあくまでツールとしながらも、関係者間の議論を通じて共通理解を得ながら、工事を成功に導くことの重要さを理解した上での取り組みといえる。
 また、東急建設では、3次元モデルの作成を内製化している。それは、作成時点の気付きや関係者間の共通認識の醸成を重んじてのこと。まさにフロントローディングの効用は施工者自身の宝となり、より良いものをつくり上げることに通じるからである。こうした取り組みを経て、現場主任から「BIMやCIMを用いた仕事は楽しいね」と声を掛けられたことを、小島氏はうれしそうに話す。
 BIMやCIMによってリスクを見いだし、対策を講じることでリスクを低減する。「施工にあたって事前に心配が減ることが、仕事の楽しさにつながる」と語った小島氏の今後にも期待したい。
(2017年10月18日取材)技術経営士(技術同友会認定)・佐藤直良

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