【板橋区】災害時の避難所に坂茂氏考案の"紙の間仕切り"導入 普段から展示にも利用 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【板橋区】災害時の避難所に坂茂氏考案の“紙の間仕切り”導入 普段から展示にも利用

実物を使って「PPS」を説明する坂本区長

 東京都板橋区は、地震などの大規模災害発生を見据え、避難所生活の質を高めるため、建築家の坂茂氏が考案した“紙の間仕切り”を導入する。5月31日に会見した坂本健区長は、避難所に指定している学校施設に、2018年度にも一定程度備える方向でいることを表明。また、「普段使うことも重要だ。災害時のみならず、区役所1階などの展示にも使用する」といった多目的な利用も検討する考えを示した。
 区は、坂氏が代表理事を務めるNPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワークと「紙の簡易間仕切りシステム(PPS)」の供給に関する包括的な協定を19日に締結する。その後、23日までの5日間、区役所本庁舎イベントスペースで、デモンストレーション展示を開催する。
 PPSは、柱と梁となる1辺が2mの紙管と木綿の布で構成。布をカーテンのように使うことで、日中は開放し、就寝時のみ閉めるといった調整ができる。体育館などで避難所生活をおくる被災者に対して、プライバシーの確保や精神的苦痛の緩和につながる。コストが安く、簡単に設置できる。東日本大震災でも50カ所の避難所で1800ユニットが活用されるなど注目を浴びている。
 坂本区長は「安全で誰でも迅速に設置でき、容易にプライバシーが確保できる」点を強調し、「安定した避難生活の実現が期待できる」として、災害発生時の避難所生活の環境改善・体制強化に積極的に取り入れる考えを示した。また、区内各地区や学校で実施する防災訓練でも貸し出しによる組み立て訓練やデモンストレーション展示を行う予定。さらに、平時での利用についても検討していく考えを示した。

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