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【リニアモーターで動く自走式エレベーター】3次元移動が高層建築を変える/リニアリティー

最終更新 | 2023/03/01 10:55

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◆無限に広がる街づくりの可能性

 次世代エレベーターが高層建築を変える--。ベンチャー企業のリニアリティー(京都市、マルコン・シャンドル社長)は、ロープを使わずリニアモーターで直接駆動する自走式エレベーターの開発を進めている。軌道を垂直方向に限定せず、横、斜め、曲線とあらゆる方向に自由に移動できるのが特長だ。このリニアモーターエレベーターが実現すれば、建物内にとどまらず、街中の公共交通機関にまでつながり、ラストワンマイルの移動が解決する。マルコン社長は「交通機関と建物内でそれぞれ完結していたモビリティーがつながり、次のステージに発展する。建築の自由度が増すだけでなく、まちづくりの可能性が無限に広がる。われわれや建築家だけでなく、デベロッパーとともに実現したい」と協力を呼び掛ける。まずは実用化に向けて、2025年大阪・関西万博での展示を目指す。

「リングダム」設計・高松伸氏(高松伸建築設計事務所代表)、作画・片桐岳氏(竹中工務店東京本店設計部)。「この構想を実現するためには、リニアモーターエレベーターのような自走式エレベーターが必須だと開発に注力した」(マルコン氏) 著作物使用権・高松伸建築設計事務所代表

マルコン社長

 リニアモーターエレベーターは、コイルを内蔵した装置を昇降路に並べ、コイルに電流を流すことで生じる磁力によってロープレスで輸送かごを移動させる。この装置は自由に並べることが可能で、曲線軌道にも対応する。磁力で動くため振動や騒音を抑えられる。摩耗する部品が格段に減ることで、寿命やメンテナンス性の向上にも一役買う。


 同氏は「建物の基本形状が縛られていた時代が、ようやく終わりを迎える」と強調する。ロープレスの仕組みにより、建物にエレベーターのための直線部を設ける必要がなくなるからだ。円形、アーチ型、らせん型といった複雑な構造の高層建物にも設置可能で、これにより建築の自由度が高まるのが特長だ。


 

  

「スカイ∩アーク」。実現すれば、まちづくりの可能性は無限に広がる 設計作画と著作物使用権・片桐岳氏(未来加速研究所CEO)


◆単一から“マルチカー”

電力や制御を提供する電子回路、位置検出センサーなどを一つのユニットにまとめた。従来のエレベーターにコンポーネントを追加するだけでリニアモーターエレベーターが完成する

 都市部の高層ビルは、数十台のエレベーターが運行することも珍しくない。その占有スペースは、建物内空間の40%以上を占めるとされ、大きなコスト要因になっている。こうした背景から同社は、AI(人工知能)を使った管理システムを開発した。これにより、同じ昇降路を多数の輸送かごで共有して稼働できるようにした。
 同氏は 「昇降路の設備なども共有することで、そのスペースを従来のシステムから50-60%ほど減らし、都市部の希少な土地を有効活用できる」と提案する。「削減した空間にテナントを誘致すればデベロッパーにとって追加収益も見込める。不要になる昇降路やホールなどのコストも節約できるはずだ」と力を込める。利用者にとっても、同じ乗り場に次々とエレベーターが到着すれば、利便性が向上することは明らかだ。


 



 

◆磁力で新たな「安全」

建物内にとどまらず、公共交通機関にまでつながる

 空飛ぶクルマなどを含む次世代都市モビリティーの市場規模は、35年に25兆円に達すると見込まれている。 新たな市場では、その安全性が鍵を握る。「もともとエレベーターは安全性が高い」と前置きした上で、 「従来のエレベーターの安全性を保証している機械式ブレーキなどの全ての技術を継承するだけでなく、歩く移動より安全といわれるレベルにした」と強調する。実際に、磁力を発生させるモーターへの電力供給が遮断されても、誘導電流で輸送かごの落下を防ぐ機能を設けた。万が一、他の安全機構が作動しなくとも、自由落下しない構造を採用した。
 同氏は、母国ハンガリーで電気工学を専攻した。京大にも通いながらフジテックで研究開発を進め、同社を定年退職した後、17年にリニアリティーを立ち上げた。設立当初からトルコのベンチャー企業Desird Design R&D社のサポートを受け、このほど新工場を建設。量産化できる態勢を整えた。
 「自由自在に変えられる軌道を建物内で終わらせず、地下鉄の駅にまで延ばせば、駅に降り立った人がすぐにエレベーターに乗り、途切れることなく目的階までたどり着くことができるようになるだろう」と話す。実現の日は近づいている。





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