緊急復旧と除雪を両立/地域建設業が使命全う | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

能登半島地震リポート

緊急復旧と除雪を両立/地域建設業が使命全う

 「令和6年能登半島地震」で甚大な被害を受けた能登地方は、降雪に見舞われている。地元建設業者は自身が被災しながらも、緊急復旧と除雪作業を両立し、地域の守り手としての使命を全うしている。
 奥能登に本社を置く建設企業の社長は、「自宅が半壊状態にあるなど、多くの従業員が厳しい状況にある。そんな中で道路啓開をはじめとする緊急復旧を頼むことは心苦しかったが、全従業員が快く引き受けてくれた。1人1人に地域建設業としての責任感が根付いていることを実感した」と力を込める。
 加えて、厳冬期を迎え積雪が続く。住民生活だけでなく、緊急車両の通行、物資運搬に支障を来すことから、道路除雪は不可欠になる。
 除雪作業は地形、路線特性、路面状況の把握といった地域への精通度が求められ、地元建設業者でなければ難しいため、「ある従業員は昼間に道路啓開に従事し、夜間には除雪機械のオペレーターを担当してもらっている」と明かす。
 石川県建設業協会などに所属する加賀地方の会員も被災地でさまざまな活動を展開し、“オール石川”で対応している。
 また、富山、新潟各県の建設業協会は道路の段差解消や支援物資の輸送、重機オペレーターの派遣などを実施。富山建協の会員は、能登牧場につながる道路に大きな亀裂が入り、牛の食料が搬入できなくなったことから、大型車両が通れるように緊急的に補修・修繕したという。
 一連の取り組みを聞いた北陸地方整備局の遠藤仁彦局長は、「日本建設業連合会が進めている国道249号、能越自動車道の道路啓開、河道閉塞の解消を含め、建設業の役割を多くの人が理解してくれているのではないか」と強調。その上で、「業界の持続性が高まるように、当局としても引き続き支援していきたい」と話している。
【2024年1月29日付紙面掲載】