【BIM/CIM未来図】オートデスク 日本の前向きな思いが新機能に/DXがACCの導入後押し | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【BIM/CIM未来図】オートデスク 日本の前向きな思いが新機能に/DXがACCの導入後押し

 オートデスクの建設クラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud(ACC)』を導入する企業が日本国内で300社を超え、企業の枠を越えて成功事例を共有し合うACCユーザー会も7月に発足した。このタイミングで来日した同社AEC製品開発担当バイスプレジデントのラリス・スブラマニアン氏は導入企業を精力的に訪問し、ACCに蓄積したデータを最大限に活用したいという「日本企業の前向きな思いを実感した」と明かす。

ラリス氏


 ユーザー会にはゼネコンを中心に、設計事務所、プラントエンジニアリング会社、専門工事会社、建設コンサルタントなどから230人が参加した。会長・副会長にはACCの全面導入に踏み切る清水建設、大和ハウス工業、竹中工務店、日揮グローバルの各BIM推進役が就任。ラリス氏はユーザー会幹部の所属企業など約10社から、ACCの導入状況とともにシステム上の要望について詳細に聞き取りをした。

 ACCは建設ライフサイクルを通してあらゆる段階でチームやデータ、ワークフローをつなぐ統合プラットフォームを担う。ワークフロー全体を管理する『Docs』を基盤に、共同設計を担う『BIM Collaborate』、施工管理全体を網羅する『Build』、図面や3次元モデルの数量を拾う『Takeoff』のソリューションで構成し、各ワークフローを通してコミュニケーションを一元管理する。

 日本語仕様が完了した2022年4月から日本での販売を本格化してきた。「販売は米国が先行したが、明らかに日本企業の導入の伸びは大きい。日本でDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略に乗り出す企業が増えていることが、ACC導入の後押しになっている」と説明する。

ACC導入企業は日本国内で300社超

 米国の建設プロジェクトでは、クラウドを使ってデータを管理する流れが一般化しつつある。「DXはデジタルを使って作業を変革することが目的だが、そのためには関連データを一つに集約し、そこから情報を出し入れしていくことが重要になる。そのためにはクラウド対応が欠かせない。この流れが日本にも着実に進展してきた」と手応えをつかんでいる。

 日本では、BIMを出発点にDX推進に乗り出す企業が拡大している。「他産業と比べ、建設業界のDX化はゆっくりとしたペースで進んでいるが、それは結して悪いことではない」と考えている。そもそも業務上の書類が多く、紙ベースで情報共有を進める商習慣に加え、時間外労働の上限規制も始まった。そうした状況でも建設業には「着実にデジタル化を進めようという前向きな意識がある」と受け止めている。

 プロジェクト関係者は多岐にわたり、情報共有を進める際、ACCを基盤に置くことでデータへのアクセス権限を細かく設定でき、承認の枠組みも明確に位置付けることができる。「特にゼネコンでは協力会社との連携が必要になるだけに、ACCを軸に置くことで、円滑な情報共有を実現できる」と説明する。

 ラリス氏は日本企業の訪問を通じて「今後は日本企業の前向きな要望がACCの新たな機能として実装されることになるだろう」と説明する。ACCの導入は米国が先行するものの、きめ細かな日本の建設生産システムからの要求が「ACCの下支えになるだけに、日本のユーザーの声を具体化していきたい」と考えている。

日本ユーザー会の幹部



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