◇建設現場は資機材飛散防止対策を徹底
A 今年の夏は例年にも増して台風が多いように感じる。
B 8日の5号に始まり、1週間内に四つも連続発生した。モンスーン・ジャイア(季節風の渦)という気象条件が要因に挙げられているが、お盆の時期とあって、建設現場は長期で休場するケースが多く、直接的な影響は少なかったようだ。
C ある監督さんから聞いた話だが、長期休場前には、特に風雨、飛散対策に神経を使うという。建設資材はとがっていたり、大きく重いものも多い。資材置き場の整理・養生は大事だと言っていた。
B お盆で閑散とした工事現場を通りかかったら、仮設足場のメッシュシートを堅く絞っていた。大型台風の接近が予測される時は、フラットパネルを部分撤去する現場もある。台風通過中は職長、監督は詰め所に待機する場合も多く、現場は気が抜けないという話も聞く。
C なりわいの前提には、電気やガス、水道などのライフライン、社会インフラが欠かせない。台風や地震に限らず、有事となれば建設業関係者は、休暇中でも電話一本で現地に向かい、夜通し作業することも当たり前だ。そのことに誇りを持って働いている人も多くいるのではないか。
B こうした日々の業務に真摯(しんし)に向き合う多くの実務者にもスポットライトを当て、その思いや心意気を広く伝えることも記者の役目だと思う。
C 国土交通省は、昨年度に実施した実態調査に基づき、地域建設業が災害対応時に抱える課題を把握し、今後さらなる活躍に必要な取り組みを整理した。自然災害が頻発・激甚化する中、地域の守り手でもある地域建設業の役割がいかに重要か、われわれも心して伝えていきたい。
◇価格上昇リスク負担、発注者の理解進む
A ところで、大手・準大手ゼネコン25社(単体27社)の2025年3月期第1四半期の連結決算が出そろった。
D 資機材価格高騰の影響を受けた案件が長らく利益を下押ししてきたが、ここにきて脱却の兆しが見られた。価格上昇を踏まえた契約の徹底や案件の入れ替わりが業績に貢献している。
E 契約後の価格上昇リスクを、これまでゼネコンが多く負担してきたが、最近では発注者側の理解も進みつつあるとの声が聞かれる。資機材の急激な価格上昇に加えて、特に建築工事の大型化に伴う工期の長期化が、こうしたリスクを顕在化させたと言えるかもしれない。
C 古くからの商慣習が見直されていくことは、中長期的にも業界の持続的な発展には欠かせないことだろう。建設市場が一定程度の規模感を維持できている今だからこそ実現したのかもしれない。「禍を転じて福となす」ではないが、今後も発注者の理解がさらに進むといいね。
D ただ、決算を見ると、営業増益は12社、減益が13社と全体の状況は五分五分だ。4社が営業赤字となるなど、まだ第1四半期であることを考慮に入れても予断を許さない状況といえる。他方、売上高は多くの企業で好調が続いている。連結では16社が前年同期を上回り、大手3社を含む8社が過去最高となった。
A 今回は、時間外労働の罰則付き上限規制適用後、初の決算となったけど、影響はあったかな。
B 建設業と同時に適用開始となった運送業からの影響も特段見られない。ただ、想定以上に人のやりくりに苦労しているとの声もある。
E デジタル化が進んでも建設業は人で成り立つ産業だ。決算に影響が出る可能性もあるから、注視が必要だ。