フィーチャーインタビュー2025・TOTO 田村 信也社長 | 建設通信新聞Digital

9月17日 水曜日

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フィーチャーインタビュー2025・TOTO 田村 信也社長

【利益体質へ国内住設を改善/半導体関係の成長加速化】

 2024年度の連結決算は、売上高が過去最高だった一方、海外事業で減損損失を計上して純利益を大きく落とした。「構造的な問題が露見したが、反対に成長分野が明確になり、課題もはっきりした」と、さらなる成長のチャンスと前向きに受け止める。世界的な半導体需要の増大を支える新領域事業などの成長加速化を図るとともに、屋台骨の国内住宅設備事業を利益体質にすべく全社的な改善を進める。  --24年度の振り返りを
 「良かった点は二つある。一つは、半導体製造装置向けにセラミックの静電チャックを販売する新領域事業の成長が著しく、大きな柱に育ってきた。売上高は全体約7200億円のうち約500億円で利益が半分程度を占めている」
 「もう一つは、本業の住宅設備事業で収益源としての米国とアジアのポテンシャルが明確になったことだ。米国はウォシュレットが伸びている。アジアは国・地域によって異なるが、ウォシュレットが広がる台湾がけん引している」
 「課題も明確になった。中国住宅設備事業の立て直しと、国内住宅設備事業の改善を進める」
  --二つの課題への具体的な対応は
 「中国は、不動産バブルの崩壊で赤字になったため、縮んだマーケットのサイズに合わせて四つあった現地工場を二つに減らす大なたを振るい、約340億円の減損損失を計上した。26年度の黒字化を計画している。国内は『トップシェアの割に利益が薄い』と投資家に指摘されている。他社との競争はあるが、効率が悪かったのも事実。大改革するのではなく、小さな改善を圧倒的な数と範囲で進め、効率的でより利益を出せるビジネスに変えていく」
  --人材確保の取り組みは
 「20年以上前までは業績に応じて採用数を変動させていたため、社員の年齢構成がいびつになった。今は業績に関係なく、毎年ほぼ同じ人数を採っている。中途採用も行い、人数が少ない年齢層の社員を確保している」
 「採用面で北九州市に本社を置いているのは悪くないと感じる。地元で働きたい学生が一定数いて、当社が選択肢になれているためだ。大学や企業を誘致するなど、市が地元に残る若者を増やす施策を展開しているのも大きい」
 「企業理念の根本にあるのは『親切』。この言葉は国内外を問わず、社員に浸透している。営業担当だけでなく、管理部門や工場の社員もお客さまと接する機会を引き続き設け、働きがいを実感できる会社にしていく」

【横顔】
 (たむら・しんや)散歩しながらのラーメン店巡りが休日の楽しみ。10㎞超を歩くこともある。北九州市内のとんこつラーメン店はほぼ制覇した。