【BIM/CIM2024⑩】オフィスケイワン 建コンとメーカーの「ギャップ」解消 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【BIM/CIM2024⑩】オフィスケイワン 建コンとメーカーの「ギャップ」解消

 橋梁CIMシステムの開発・販売、ICTサービス提供を手掛けるオフィスケイワン(大阪市)。主力商品である鋼橋用CIMシステム「CIM-GIRDER」は線形座標から主構造・付属物の数値入力によるパラメトリックモデリングソフトで、詳細度300-400に対応。鋼橋の上部工(鈑桁橋・箱桁橋)の3DAモデル、断面図、鋼材数量、BIM/CIM設計照査シートの出力と、CIMモデルによる施工管理の高度化を支援する。

亀井部長(左)と菅グループリーダー

 この「CIM-GIRDER」に、2024年度版から新機能が追加された。オプション機能として鋼橋の3次元モデルを用い、部材同士の干渉や近接、図面間の不整合も自動でチェックする「自動干渉チェック機能」を装備した。現場に対するヒアリングをフィードバックしたことでこれまでであれば最低で8時間、長いと30時間はかかる作業を、2時間程度で完了できる。

 技術開発部の亀井透匡部長は「若手でもベテランでも、同じ品質の作業が可能となる」と説明する。

 5月から「設計属性情報ファイル」の入出力提供も試行開始した。同ファイルは、設計側の「自動設計システム」から施工側の「自動原寸システム」へのデータ連携を目指したフォーマットで、日本橋梁建設協会(橋建協)が作成した。

 23年4月、橋建協と建設コンサルタンツ協会は「橋梁技術のデータ連携実装に向けた共同宣言」に、国土交通省立ち会いのもと署名。両者はBIM/CIMをデータプラットフォームとして活用し後工程での利用を促進することで作業効率化を進めることで合意した。その背景にあったのが「設計データと工場で活用するデータ形式が異なるため、原寸を作成する際に結局データを手入力するという二度手間が起きている」(亀井部長)。

 こうした二度手間を減らすことを目的に誕生したのが同ファイルで、工場側での手入力が不要になることで50時間かかる作業を、1時間程度まで短縮できると説明する。

 24年度版は国際標準形式のひとつ・IFC形式についても標準仕様で対応可能になるなど、バージョンアップが図られている。同部技術グループの菅功人グループリーダーは今後の展開について「ユーザーにとってより使いやすいモデルへ着実に進化した。建設コンサルタントをはじめ、広く販売していきたい」と先を見据える。

CIM-GIRDER



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