【多様に広がる建設ICT活用⑫】日積サーベイ ΗΕΛΙΟΣ活用の幅を拡大 | 建設通信新聞Digital

5月29日 木曜日

B・C・I 未来図

【多様に広がる建設ICT活用⑫】日積サーベイ ΗΕΛΙΟΣ活用の幅を拡大

積算数量からCO2算出可能

 日積サーベイは、BIM対応建築積算システム「ΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)」の最新版「ΗΕΛΙΟΣ2025」を12月にリリースする。全25項目の機能を強化する中で、住友林業の建物用CO2見える化ソフト「One Click LCA」、プラスソフトのPDF計測ソフト「PenPlus」とΗΕΛΙΟΣのデータ連携が実現する部分が注目ポイントの1つだ。システム開発部の田川彰氏に、両ソフトとの連携について解説してもらった。

 ――One Click LCAと連携した背景は

田川氏

 CO2排出量の算定では、積算の工事内訳書を基に資材数量を把握している状況がある。積算業務との親和性が高い点も踏み切った要因の1つ。今後、積算技術者がCO2排出量の算定を業務として担っていく可能性も期待でき、ΗΕΛΙΟΣユーザーが活用の幅を広げる点でもOne Click LCAとの連携が有効と判断した。

 国土交通省のゼロカーボンビル推進会議が2023年5月にまとめた報告書では、30年のエンボディドカーボン算定義務化について言及しており、建設時CO2排出量の算定に向けた取り組みが今後増えてくることも背景にある。CO2排出量の算定は積算技術者の新たな業務領域になる可能性を秘めている。

 エンボディドカーボン算定とは現在、世界のCO2の約37%が建設セクターから排出されている。その内訳として、約70%が居住時・使用時に発生する「オペレーショナルカーボン」であり、残りの約30%が一連の建設プロセスで発生する「エンボディドカーボン」になる。オペレーショナルカーボンについてはZEHやZEBにより削減が進んでいるが、エンボディドカーボンの削減については今後さらに重視される傾向にあり、建設プロセスの各工程でエンボディドカーボンの算定ニーズは高まるだろう。

建設工程の排出CO2区分 (住友林業提供)

 ――データ連携の流れは

 住友林業が提供する原単位コード一覧表をΗΕΛΙΟΣへ取り込み、次に従来通りにΗΕΛΙΟΣで数量算出を行い、ΗΕΛΙΟΣの内訳書内で原単位コードの仕分け作業、単位換算作業を行う。最後にOne Click LCA取込用フォーマットに出力し、データを取り込むことでCO2の見える化が可能になる。

 当社では今後を見据えて「原単位コードの仕分け作業」や「単位換算作業」の省力化につながる機能開発を進める計画だ。「原単位コードの自動入力機能」を開発の最終目標に位置付けている。別ツールとの連携も状況に応じて検討していきたいと考えており、CO2排出量の算定に向けた動きにもΗΕΛΙΟΣの存在感を高めていく。

ΗΕΛΙΟΣとOne Click LCAのデータ連携

 ――PDF計測ソフト「PenPlus」との連携は

 ΗΕΛΙΟΣのオプション機能として連携環境を提供する。この連携は、いわばペーパレス化に向けた取り組みとなる。PenPlus上でPDFデータの計測を行い、計測したデータをΗΕΛΙΟΣへ取り込む機能になる。PenPlusは動きが軽く、操作性に優れており、複数ページが含まれているPDFファイルに対して計測作業が可能になるだけに、ユーザーにとっては連携によって大幅なペーパレス化とともに、業務の効率化も実現できるだろう。

 これまでΗΕΛΙΟΣはBIMソフトとのダイレクト連携を拡充してきた。One Click LCAやPenPlusと連携するように、積算データをより効果的に幅広く活用するためのシステム連携が広がるだろう。

 ――このほかΗΕΛΙΟΣ2025の機能強化は

 高速化、省力化についても強化する。One Click LCAやPenPlusとの新機能連携と合わせ、3本柱として全25項目の機能追加、機能改良を実装する。

 高速化については「PDFデータ取り込み」「起動時」「Excel出力時」の3点を改良している。省力化については「自動計上項目の追加」部分のほか、操作性の向上を目的とした「初期値設定機能」「ショートカットキーの追加」「範囲配置機能の追加」を実装する。今後もBIM対応建築積算システムとして、ΗΕΛΙΟΣの進化は続く。



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