【動画ニュース】浅草寺・仲見世の屋根を80年ぶりふき替え/カナメ | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【動画ニュース】浅草寺・仲見世の屋根を80年ぶりふき替え/カナメ

 

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 屋根建材の開発・製造・施工などを手掛けるカナメ(宇都宮市、吉原正博社長)と東京都台東区の浅草寺は、同寺院の観光名所である仲見世商店街で実施中の屋根のふき替え工事現場を公開した。屋根の全面的なふき替えは80年ぶり。雨や温度変化など、銅板屋根が抱える課題に対応した技術で、耐久性が高くランニングコストの低減につなげる。

 仲見世は浅草寺の表参道に当たり、雷門から宝蔵門まで長さ約250mにわたって、参道の両側に朱塗りの店舗87軒が立ち並んでいる。工事では、店舗が入る13棟の屋根2138㎡を、2024年10月から25年3月31日までの工期で施工中だ。

ふき替え前


 ふき替え工法には、「銅板カナメ一文字葺(ふ)き」を採用した。従来の銅板屋根は、銅板の継ぎ目にできたわずかな隙間から毛細管現象により水が浸入し、雨漏りを引き起こすことがあった。同社の施工では、継ぎ目にクリアランス(隙間)を設ける独自加工を施し、雨水の侵入を防いでいる。

ふき替え後


 銅板は加工しやすく、曲線の優美な表現ができる半面、気温変化などの熱膨張に弱くゆがみが生じる場合がある。同社では、銅板屋根のゆがみに伴う横移動を防ぐ構造とすることで熱膨張に伴う伸縮を防いでいる。

 仲見世は、1926年の建設。45年の東京大空襲で一部が焼失し、太平洋戦争後の補修を経て現在の姿になった。店舗は老朽化が進み、一部では雨漏りや強風による屋根の損傷などが生じていた。

 これまでに宝蔵門(2007年)や本堂(10年)、五重塔(17年)の瓦屋根を、同社が軽量で耐久性の高いチタン製屋根にふき替えた。同寺の守山雄順執事長は「いずれの施設もトラブルは生じておらず、施工の丁寧さを実感している」と高く評価しており、その技術に対する信頼が仲見世の設計・施工につながった。

 同社の小池友秋執行役員寺社事業部長は「銅板で施工した場合、フリーメンテナンスで100年もたせることを目指している」とした上で、「屋根の強度を保つしっかりした下地と、当社の一文字葺きを合わせることで初めて実現できる」と強調する。

 赤褐色の銅板屋根は、雨などの影響によって数カ月で黒ずみ、将来は緑青色になる。守山執事長は「日本を代表する観音様のお寺として、安全に加え、本堂への道の美観も大切にしたい。ふき替えた屋根の美しい輝きが、時間とともに変化していく様子も楽しみにしたい」と話している。

 

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