【動画ニュース】ウクライナで遠隔施工実演、日本の技術で人手不足解消/国交省 | 建設通信新聞Digital

10月16日 木曜日

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【動画ニュース】ウクライナで遠隔施工実演、日本の技術で人手不足解消/国交省

 

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 国土交通省は9日、ウクライナのキーウ市内で建機を遠隔操作するデモンストレーションを実施し、ウクライナ政府関係者や地元企業に日本の技術をアピールした。ウクライナでは今後、大きな復興需要が見込まれる一方、人手不足が深刻化している。国交省は運用実績が豊富な日本の遠隔施工技術を導入することで、男女問わず誰もが安全に建設に携われる環境の構築を目指す。

キーウ市内の大学から20㌔先の重機を操作した 提供:国土交通省


 ロシア侵攻による戦禍にあえぐウクライナは今後、本格的な復旧・復興が始まった場合、世界的に大きな市場となることが予測されている。世界銀行などが2月に公表した第4次被害・ニーズ調査(RDNA4)では、今後10年間の復興・復旧にかかる費用を5240億ドルと試算した。一方、死傷者の増加により人手不足が目下の課題となっている。

 日本では災害時に安全に復旧作業を進めるため、建設機械の遠隔操作技術を発達させてきた。遠隔操作技術は、現場での作業が難しい女性や戦傷者が雇用を得るチャンスにつながることから、国交省はウクライナ振興として、遠隔操作技術導入による人的資源活用ビジネスモデルの構築を目指すことにした。技術導入に伴う市場拡大とともに、導入後のメンテナンスや運用面でのビジネスチャンスも視野に入れている。

 官民連携で取り組みを進めるため、1月に日ウクライナ・国土交通インフラ復興に関する官民協議会(JUPITeR)を設立した。7月にはデモンストレーションに向けた事前調査を実施した。

 9日に行ったデモンストレーションには、JUPITeRの会員企業である八千代エンジニヤリング、ソリトンシステムズ、コーワテック、コベルコ建機が参加した。ウクライナの現地では政府や地元企業、キーウ工科大学、国連機関などの関係者が見学した。

 キーウ市内にあるキーウ工科大に設けたコントロールセンターからインターネット回線を経由して約20㎞先のバックホーを操縦し、がれきの処理や運搬を想定した動作を実演した。また遠距離操縦の実証として、センターから約8000㎞離れている日本のコベルコ建機テクニカルトレーニングセンター(神戸市)の建機を動かすデモンストレーションも行った。

 参加したウクライナ関係者からは、前線地域での作業でドローン攻撃により多くの人的被害が出ていることから、将来を担う若者の命を守る観点で遠隔施工に期待する声が寄せられた。

 今後はウクライナ国内でデモンストレーションを兼ねた実証実験を実施し、導入への課題を把握するとともに、関係機関に復旧・復興工事への遠隔施工の要件化を働き掛ける。まずはがれき処理への導入を目標に掲げている。
 

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