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運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)は、運輸・建設分野におけるデジタル技術の社会実装を目的に活動している。建設業WGは、建設業界の人材不足解消や迅速な災害対応などに向け、「建設機械の遠隔操作」という新たな解決策を提示するため、「e建機チャレンジ」を企画・運営し、学生、女性、eスポーツプレイヤーなど遠隔操作への親和性の高い若者に参加してもらっている。大会の目的は「遠隔操作技術の社会実装」「新たな人材への機会創出」「災害復旧支援への社会貢献」の三つ。建設業未経験者を含む参加者が競技会形式でスピード、効率性、正確性などを競うことで、生産性向上の検証や社会的な認知度向上を目指し、2022年から年1回のペースで開催している。
■これまでの活動紹介
TDBC建設業WGが企画・運営する「e建機チャレンジ」は、2022年10月に第1回を開き、23年9月に国土交通省主催の「遠隔施工等実演会~施工DXチャレンジ~」のタイアップ企画として第2回を開催した。東京・六本木の高層ビルから約70㎞離れた千葉県大多喜町の千葉房総技能センター筒森AIセンターを建機稼働会場とし、建機オペレータ、学生eスポーツプレイヤー、プロeスポーツプレイヤーらが技を競った。24年10月に開いた第3回は、千葉市のEPレンタル平川フィールドを建機稼働会場とし、重機操作シミュレーションアプリ「重機でGo」を活用した予選会も実施して全6チームが競技した。
これまでの活動の集大成として取り組んだのが、大阪・関西万博のメインホール「シャインハット」で7月18日に開催した「e建機チャレンジ2025」だ。KONAMI eスポーツ学院の高校生、学生重機部連合、プロeスポーツチーム「QT DIG∞」の3チームが参加し、万博会場から約450㎞離れたEPレンタル平川ヤードの油圧ショベルとキャリアダンプを遠隔操作し、タイムトライアルで競技した。KONAMI eスポーツ学院が優勝し、遠隔施工が高校生の将来の進路選択肢となり得ることを強く印象づけた。
大会は、高精細映像、固定カメラ、ドローン映像を組み合わせた操作環境により搭乗操作に近い臨場感を実現。超遠隔操作の実用性を実証する場にもなった。
具体的には、e建機チャレンジは超遠隔映像伝送技術の向上が基盤となって成立している。すなわち伝送データ量の削減(高精細映像の圧縮)、多視点映像の一元化(複数映像の統合・同期)、安定した高速伝送路の確保(通信経路の最適化)など各種技術の融合が不可欠である。
さらにイベント性、実用性を高めるためにドローン、360度天球カメラ等の映像を組み合わせ、大型スクリーンに分割投影。さらに環境によってはYouTube同時配信を行う等、総合的なエンジニアリングの挑戦の場とも言える。これらの技術はARAVをはじめ、ソニー、ソフトバンク、田中電気など各分野の会員、技術支援企業の協力を得ており、プラスループ社が第一回大会より映像・通信の総合コーディネーションを行っている。
同時期開催のINTEX大阪での未来モノづくり国際EXPOでは、一般向けの遠隔操作体験、WG企業の建設DXソリューション、災害復旧ソリューションなどの展示に加え国交省、遠隔取組企業も協力し、遠隔をテーマにした国際シンポジウムにも参加した。
■今後の展開
建設業WGは、大阪・関西万博の参加を通じ、「安全であり、安心でき、柔軟に働ける環境さえ整えば、建設業が若年層や女性が入職できる業界に変貌することは間違いない」と実感を得た。一般的に搭乗による施工に比べると、遠隔施工は一時的に操作反応が遅れるため、全ての作業を同じ条件で比べた場合、生産性が下がると見られがちだ。しかし、作業内容や環境の選定、安全性、継続性、人材確保、燃料消費効率、場所を問わず熟練者が複数現場を支援可能であることなどを総合的に見れば、大きな生産性向上につながる。そのため、遠隔施工は単なる省人化技術ではなく、「安全性×継続性×人材確保×環境改善」を包含した新たな生産性向上の概念を示す。
また、危険作業や災害復旧、戦災を含む国際的な復興支援にも有効性が高い。建設業WGは今後、「超遠隔施工」という次のフェーズを見据え、技術者育成や教習体制の整備、業界・行政との連携を一層強化していく方針だ。
第5回e建機チャレンジは、東京・六本木のウイングアーク1st内で、10月の開催を予定している。「『未来と現在をつなぐ、超遠隔施工』~競争から共創・協調へ~」をテーマに掲げ、超遠隔操作技術を軸に、現場人材と企業・地域・行政の連携による無人化施工の普及と持続可能な建設の未来の社会実装を目指して開催する。
■10月2日(金)
〈業界・公官庁向け〉
『超遠隔操作がひらく、無人化施工の普及と現場DXの未来』事例講演、デモなど
■10月3日(土)
〈一般・学生向け〉
『超遠隔操作がつなぐ、未来の建設現場』競技、体験コーナーなど
【植村建設(WGリーダー)/現場に根差した企画を形に】

植村建設は、事業者会員で唯一の北海道企業としてe建機チャレンジに参画しています。人口減少や担い手不足が顕著な地方建設業において、遠隔操縦という技術が「現場を守り、人をつなぐ手段」になり得ると感じたことが、私たちの原点です。
e建機チャレンジの掲げる、競争ではなく共創によって技術を社会に根付かせていく姿勢に強く共感し、2024年にTDBCへ入会しました。入会後はNHK番組での紹介や、大阪からの遠隔操縦体験イベントへの参画など、技術の可能性を多くの方と共有する機会をいただいています。
今年度はWG07(遠隔操作)のリーダーとして、加盟企業の皆さまと知恵を出し合い、現場に根ざした企画を形にできることを大きな喜びと感じています。e建機チャレンジを通じ、場所にとらわれず多様な人材が関われる建設業の実現を目指していきます。
【ARAV(WGサブリーダー)/遠隔操作・自動運転を後付けで可能に】

東大発スタートアップの当社は、建設業界の深刻な労働力不足に対し、既存重機をそのまま活用した革新的なソリューションを提供しています。コア技術「ModelV/Model E」は、メーカーや年式を問わず、あらゆる重機への後付けで遠隔操作や自動運転を可能にします。
これにより、作業員を過酷な3K現場から解放し、安全なオフィス環境等からの就労を実現。
さらに、西尾レントオールやレンタルのニッケンと共同で自動油圧ショベル「RX」を展開するほか、三井住友海上との連携による専用保険も整備し、導入への心理的・経済的障壁を大幅に低減しました。高額な新車への買い替えを不要とし、既存資産の寿命を延ばしながら生産性を最大化します。
弊社は重機の知能化を通じて、建設現場の産業構造そのものを変革してまいります。
【伊藤忠商事・伊藤忠TC建機/遠隔バリューチェーン構築を推進】

伊藤忠商事・伊藤忠TC建機は、2019年以降ARAV、千葉房総技能センターをパートナーとして、遠隔技術開発および社会実装を進めてきました。通信環境が悪い、千葉県の山間部にある開発フィールドにおいて、TDBC参加企業等さまざまな技術、機能をもつパートナー企業の協力をいただきながら光回線、衛星回線、無線等最適な通信手段を試行しながら災害現場、山間のインフラ現場等で活用できる、現場対応力が高い遠隔システム、遠隔バリューチェーンの構築を進めてきました。22年から始まったe建機チャレンジにおいては、イベントの企画・構成・運営、機械・装置提供等で協力させていただいております。また、24年には、ARAVと共同でダム、トンネルのインフラ現場における遠隔社会実装を開始。
今後、遠隔技術がもたらす未来の付加価値を念頭におきながら、さらなる技術向上、遠隔バリューチェーンの拡充に努め、社会貢献を果たしていきたいと考えます。
【大林組/遠隔施工技術の社会実装に挑戦】

大林組は、運輸デジタルビジネス協議会のe建機チャレンジを通じ、遠隔施工技術の社会実装に挑戦しています。
サロゲートによる汎用重機の遠隔操作化をはじめ、六本木から約400㎞離れた現場での超遠隔施工デモを実施し、安全性と生産性の両立を実証しました。
さらに、建機の自動自律運転技術など、建設DXを加速する多様な技術開発にも取り組んでいます。
今後も時間や場所にとらわれない働き方や多様な人材活用、さらには国境を越えた遠隔施工や復旧支援の実現に向け、建設DXの推進に貢献していきます。
これからも建設業における生産性、安全性の向上に取り組んでまいります。
【丸磯建設/プロの現場力と先端技術で進化けん引】

丸磯建設は、建機の遠隔操作技術を競うe建機チャレンジで連覇を果たしたICT施工のパイオニアです。
当社は国内最大級の重機保有数を誇り、ICT建機の導入にも早期から着手しました。
2025年大阪・関西万博ではスポンサー企業として遠隔操作技術の社会実装を強力に後押ししました。
年齢や場所を問わず活躍できる建設業の未来像を自らの実績と若手支援の両面で実証しています。
プロの現場力と先端技術で産業の進化をけん引し続けます。
【ウイングアーク1st/建機データをリアルタイムに可視化】

TDBC主催「e建機チャレンジ大会」にて、ウイングアーク1stのDr.Sum、MotionBoardというBI製品を活用した建機データのリアルタイム分析・可視化に取り組みました。散在する稼働データを統合し、作業効率や安全性を直感的に把握できるダッシュボードを構築したことで、データに基づいた現場改善の可能性を肌で感じました。
この経験を通じ、人手不足や生産性の停滞といった建設業界の深刻な課題解決には、データ活用によるDXが不可欠だと確信しました。単なる数値の集計にとどまらず、現場の納得感を生み、具体的な行動変容を促す「生きたデータの活用」こそが変革の鍵となります。私達の強みであるBI活用スキルを武器にアナログな現場にデジタルの光を当て、建設業界の未来を切り拓くDX推進の旗振り役として貢献したいと考えています。ぜひ、ご相談ください。
【日立建機/遠隔・自動化対応油圧ショベル「RBT」】

遠隔・自動化に対応する油圧ショベル「READY TO BE ROBOT」は、オペレーターが車体に搭乗せずに働くロボットという意味を込めて「RBT」と名付けて2024年5月に発売しました。特徴としては双方向通信型リモコンを採用して搭乗運転時の全ての機能を操作することが可能となった「RBTリモコン」、お客さまが保有する遠隔操作システムや自動化システムと直接接続して遠隔操作や自動運転が可能となる「RBT CoreConnect」をラインアップしています。また、カメラ映像を使用した遠隔操作では作業効率改善や安定稼働の確保といったお客さまのさまざまな課題に最適な提案ができるよう、オープンソリューションを活用しています。
今後もRBTは進化を続け、お客さまの安全性、生産性向上、労働環境改善といった課題解決に貢献していきます。
【田中電気(秋葉原ドローンスクール)/臨場感あふれる映像を発信】

e建機チャレンジにおいて、当社の無線技術と遠隔操作の高い親和性に着目し、ドローン映像撮影の分野で本プロジェクトに参画しました。
遠隔操作が行われている現場を、俯瞰映像を用いて直感的に伝えることを目的に、撮影計画の立案から現地での運用、オープニング映像の撮影を担当しました。
撮影時には重機の動きや作業全体の流れ、現場のスケール感が一目で伝わるよう、アングルや飛行高度を工夫し、安全管理を最優先に運用を実施しました。
また、関係者との事前調整を入念に行い、現場環境や作業工程に配慮した円滑な撮影を実現しました。
さらに、映像を通じて次世代建設を支えるDXや遠隔操作技術の有効性、将来性が伝わる構成を意識しました。e建機チャレンジの先進性や取り組みの魅力を、臨場感あふれる映像として広く発信することに貢献しました。
【旭建設/無人化施工で「現場と人材の再定義」】

旭建設(宮崎県日向市)は、宮崎県発注の工事において本社「DXルーム」から重機を遠隔操作する無人化施工を本格始動しました。
本プロジェクトの核心は「現場と人材の再定義」です。若手女性技術者が遠隔操作を担うことで場所や体力に縛られない働き方を実証し、深刻な人手不足解消に挑みます。
また、人が立ち入れない危険な災害現場での復旧作業も視野に入れています。
なお、本取り組みの発展を見据え、TDBCへ新規加入いたしました。
今後は本実践と協議会での活動をつなげ、技術の高度化と、誰もが活躍できる持続可能な建設業の未来を切り拓いてまいります。
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