【記者座談会】決まらない豊洲市場追加対策工事/18年は「働き方改革元年」に | 建設通信新聞Digital

5月18日 土曜日

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【記者座談会】決まらない豊洲市場追加対策工事/18年は「働き方改革元年」に

2018年7月の追加対策工事完了に向け、17年中の契約が目安となる


A 東京都の豊洲市場移転で前提となる追加対策工事は、施工者がなかなか決まらないね。
B 追加対策工事は地下ピット追加対策の建築、空調工事、地下水管理システム機能強化対策の土木工事を3街区に分けて計9件を9月に公告したが、予定価格の超過や応札者の辞退による不調、希望申請者「1者以下」による入札中止が相次ぎ、現時点で施工者が決まったのは2件だけだ。現在、予定価格を見直した上で事前公表としたり、参加資格を緩和するなどして、随時再公告、再々公告している。
A 移転は間に合うのだろうか。
C 2018年10月中旬の移転に向け、7月までに追加対策工事を完了させるスケジュールだ。都の担当者は「仮に17年中に契約できなくても、間に合わないと決まったわけではない」と説明しているが、工期が約6カ月のため、年内の契約が1つの目安になる。
A 希望申請者「1者以下」による入札中止の影響は。
B 9月に公告した9件のうち4件が「1者以下」で入札を中止した。財務局は個別案件の申請が1者かゼロか明らかにしていないため、何とも言えない。
C むしろ公告から3、4日で入札を中止する「1者以下」に比べ、事後公表による予定価格超過や応札者辞退は、公告から約40日かかって不調となるため、さらなる発注手続きの遅れにつながる。ただ、9件の中で入札中止と不調が入り交じり、複雑化している側面はあるかもしれない。
A 今回のような案件を見ると、「入札契約制度改革の実施方針に基づく試行」の検証も早急に進めてほしいね。
B 試行の検証に加え、事業者の不利益にならないような積算の見直し、入札に参加しやすい工事案件とするための環境づくりも重要だ。

時間外労働の適正化に向け動く業界団体

A ところで、建設業界の働き方改革をけん引する日本建設業連合会が9月に打ち出した時間外労働の適正化に向けた自主規制の試行に続き、16日には日本道路建設業協会、30日には日本橋梁建設協会が、時間外労働削減の具体的な数値目標を盛り込んだ「働き方改革の基本方針」を策定するなど、業界団体の動きも活発化してきた。
D 3団体とも長時間労働の是正に向け、時間外労働の段階的削減の目標数値を設定している。いずれも24年4月からが見込まれている、建設業への時間外労働の罰則付き上限規制適用をにらんで、段階的に長時間労働を是正し、「その時」に備えるというのが大きな目的だ。いわばソフトランディングに向けた環境整備だね。
E 他団体に先駆けて自主規制を打ち出した日建連は、改正労働基準法の施行が見込まれる19年4月から時間外労働の年間上限目標を960時間、22年4月からは840時間に設定し、改正法施行から5年の猶予を経た24年4月までに段階的な削減を進める。これに対し、道建協、橋建協は取り組みを、より前倒ししている。
D 道建協、橋建協とも18年4月から上限目標を年間960時間、20年4月から840時間、22年4月からは720時間に設定し、建設業への上限規制適用から2年前倒しして、法適合できる環境を整えたい考えだ。道建協は、18年4月から22年4月まで1年ごとに60時間ずつ削減していくという、きめ細かい目標を設定しているのが大きな特徴だ。
A 各団体とも時間外労働の段階的削減と、土曜閉所運動による週休2日定着への取り組みを精力的に進める。いずれにしても、18年度からは団体の動きが本格化する「働き方改革元年」になりそうだ。

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