【記者座談会】国交省が水災害のソフト対策に注力/第13次労働災害防止計画が公示 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【記者座談会】国交省が水災害のソフト対策に注力/第13次労働災害防止計画が公示

A 国土交通省が水災害の対策に向けて、ソフト対策に力を入れているようだね。
B 19日に洪水を検知できる水位計の運用協議会を設立した。本省のほか各地方整備局や地方自治体など計53機関が参加して、河川管理者が設置した水位計のデータを一括して処理できるシステムの運用を6月から始める。
C 昨年打ち出した中小河川緊急治水対策プロジェクトの一環である全国5800カ所への水位計設置のため、国交省では観測基準・仕様の策定や民間企業とともに低コストの機器開発を進めてきた。システム運用・通信費についても一括処理によって低廉化することで、地方自治体の危機管理型水位計の導入に弾みを付ける。
B 全国を1つのシステムに統合することで、住民にとっても一元的に河川の水位情報を閲覧できるメリットがある。最終的には河川情報のセンターとしての役割を担うプラットフォームとしたい考えだ。
D 発災前に避難を促す水位計だけでなく、土のうなどで水があふれるのを防ぐ水防活動の活性化に向けた検討も開始した。19日に水防活動活性化調査会を発足させた。
A 建設業にも関係があるのだろうか。
C 改正水防法では、建設業者などの民間事業者による水防活動を円滑にするため、委託された民間事業者に対して、緊急時に他人の土地を通過できる緊急通行などの権限を与えることになった。
D 多くの地域で水防団員の減少・高齢化が大きな課題となる中で、重機などを使って、災害の応急復旧が可能な建設業者の重要性が高まっている。調査会の構成員には全国建設業協会も入っており、地域の建設業者が水防活動に参加する上での課題などについても検討していくことになる。ハード整備以外の建設業の役割も考えていく契機になりそうだ。

13次防における建設業の重点対策の1つに、墜落・転落災害防止対策の充実、強化が盛り込まれた

2022年までに死亡者数を17年比15%以上減少を目標に

A 話は変わるが、第13次労働災害防止計画(13次防)の公示も19日にあったけど。
E 13次防は、2018―22年度の5年が計画期間だ。労災防止計画は、労災の減少に向け、国が重点的に取り組む内容を定めた中期計画となる。目指す社会として「1人の被災者も出さないという基本理念のもと、働く方々の1人ひとりがより良い将来の展望を持ち得るような社会」を掲げた。
F 建設業は、死亡災害件数が依然として全体の3分1を占めることから、引き続き重点業種に位置付けた。建設業の目標は、死亡者数を17年と比較して22年までに15%以上減少となった。
G 12次防で建設業の目標は、死亡災害件数を5年間で12年比20%以上減少だった。直近の速報値による死亡者数は304人で、目標に対し16.3%減にとどまり、目標は未達となる。304人は確定値ではないものの、22年には死亡災害件数を260人未満にしなければならない。
F 建設業の重点対策は、墜落・転落災害防止対策の充実強化、高所作業時の墜落防止用保護具は原則フルハーネス型を義務化、建築物解体工事の安全対策強化、施工段階の安全衛生に配慮した設計の普及などがある。中でも、石綿使用建築物の解体工事の増加を見込み、解体工事届け出対象拡大や石綿使用有無調査者の専門性確保、必要な対策を怠る施工者への対応強化といった解体工事対策に注力することがポイントだろう。
E 近年は危険への感度が落ちているのではとの指摘もあり、高校や大学の理工系学部と連携した安全衛生教育の実施を国が働き掛けていくことを労災防止計画に初めて盛り込んだことも注目すべき点といえる。

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